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第110回学術集会(平成17年10月15日(土),16(日))
【一般演題】
妊娠・分娩(3) 肺高血圧合併妊娠の分娩管理
武者 由佳, 高橋 晃, 田中 利隆, 薪田 も恵, 山田 美恵, 伊藤 茂, 木下 勝之
順天堂大学産婦人科
肺高血圧合併妊娠では,妊娠中の循環血漿量の増加に伴う病態の悪化だけでなく,分娩後にも肺動脈圧が急激に上昇することが多く,妊娠中および分娩時の適切な管理が必要とされる.今回,妊娠中に増悪した二次性肺高血圧合併妊娠の一例を経験したので報告する.症例は23歳,1経妊1経産.22歳時に不整脈を自覚し,心房中隔欠損症および部分肺静脈還流異常症と診断され他院で経過観察されていた.23歳時他院で第1子を分娩したが,妊娠中および分娩時も特に異常を指摘されなかった.今回,妊娠初期の右室圧は26 mmHg,妊婦健診は近医で行っていた.妊娠22週に不整脈を自覚し内科受診,右室圧が62 mmHgと上昇していたが,フロセミド内服のみで経過観察となった.妊娠28週,右心圧上昇のため当院紹介受診,精査目的に入院となった.入院時血圧128/58 mmHg,右室圧は70 mmHgであった.また超音波で児は無脳児であった.妊娠による心臓への負担を考慮し29週6日ラミナリアによる頚管拡張術を開始,30週0日硬膜外カテーテルを挿入,翌日塩酸ロピバカインおよびフェンタネスト硬膜外持続注入による鎮痛を行い,Swan-Ganzカテーテルを挿入しモニタリングをしながらプロスタグランジン腟錠を使用して死産となった.分娩後一時的な肺動脈圧の上昇をみとめたため,NO吸入,フロセミドの投与を行った.その後の経過は順調で,分娩後8日目に退院となった.肺高血圧合併妊娠における分娩誘発では,プロスタグランジン腟錠は安全に使用でき,硬膜外麻酔による徐痛は分娩時の肺動脈圧の上昇を抑えるために有用であると考えられた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 42(3)
335-335, 2005
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