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第110回学術集会(平成17年10月15日(土),16(日))
【一般演題】
妊娠・分娩(4) 妊娠合併血球貪食症候群とHELLP症候群の類似点
根岸 靖幸, 茆原 弘光, 八木 修立郎, 大坪 保雄
大宮中央総合病院産婦人科
【背景】血球貪食症候群hemophagocytic syndrome(HPS)はウイルス感染などが引き金となり発熱,全身倦怠感,汎血球減少症,肝脾腫やDICを起こしうる疾患である.今回,妊娠初期のHPS症例を報告する.【症例】35歳2経妊2経産,既往歴,家族歴に特記すべきことなし.妊娠12週2日,39℃台の熱発,背部痛,頭痛を主訴に来院,腎盂腎炎を疑い当科入院となる.背部痛は入院翌日消失するも,頭痛,熱発は続いた.血小板減少,トランスアミラーゼ上昇を認め,HPSの合併妊娠を疑った.フェリチン480 ng/ml,ハプトグロビン32 ng/dl,M-CSF 2360 pg/ml.骨髄穿刺,ステロイド投与を考慮したが,その後血小板数の上昇を認めこれらは施行せず,輸液と頭痛に対してアセトアミノフェン投与にて管理,その後血液データ,症状改善を認め第10病日退院となった.原因としてEBウイルス,サイトメガロウイルス,インフルエンザウイルス,パルボウイルスB19などの感染を疑ったが抗体価はいずれも陰性であった.【考察】妊娠中後期に著明な血小板減少,トランスアミラーゼ上昇を認めた場合,HELLP症候群を疑い急速墜娩を施行されることが多い.本症例は妊娠初期であった為HELLP症候群は否定的であった.症状や血液データ上HPSとHELLP症候群は類似しており,これまで妊娠中後期でHELLP症候群と診断されたものの中に,HPSが含まれている可能性が示唆される.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 42(3)
337-337, 2005
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