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第110回学術集会(平成17年10月15日(土),16(日))
【一般演題】
妊娠・分娩(4) von Willebrand病合併妊娠の1例
桑田 吉峰1), 薄井 里英1), 渡辺 尚1), 坂田 洋一2), 松原 茂樹1), 鈴木 光明1)
自治医科大学産婦人科1), 自治医科大学分子病態治療研究センター2)
von Willebrand病は,von Willebrand因子の量的あるいは質的異常のために出血傾向を呈する疾患である.今回我々はvon Willebrand病合併妊婦の分娩管理を経験したので報告する.症例は,29歳,1経妊0経産.12歳時に下肢に血腫が認められ,精査にてvon Willebrand病と診断された.それ以降,出血傾向のエピソードはない.妹も同疾患.両親は調べられていない.月経は,28日周期で,持続は5日間,過多月経の既往はない.20歳時,ヒト血液由来血液凝固第8因子製剤(コンファクトF)投与下に,人工妊娠中絶を施行している.このときの補充前のAPTT41.5秒(コントロール29.9秒),第8因子活性55.3%,vW因子89%であった.今回,妊娠初期から当院に通院していた.妊娠前の第8因子活性は38.5%と低値,APTT44.9秒と軽度遅延を示していたが,妊娠36週には第8因子活性は161.0%と上昇し,vW因子は147%,APTTは37.5秒と軽度遅延,出血時間6分30秒と軽度延長を示していた.妊娠末期の第8因子活性は正常範囲であったが,APTT及び出血時間が軽度延長していることを考慮し,血液凝固第8因子製剤投与下の分娩を計画した.プロスタグランジンE2にて陣痛誘発を行い,陣発直後および分娩第2期に第8因子製剤(コンファクトF合計3000単位)を投与した上で経膣分娩に至った.分娩時の出血量473ml,分娩後の異常出血もなく,良好な結果をとり,分娩後6日目に退院となった.今回,第8因子製剤を補充した上での経膣分娩を計画し良好な結果を得ることができた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 42(3)
337-337, 2005
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