|
<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る
第110回学術集会(平成17年10月15日(土),16(日))
【一般演題】
妊娠・分娩(4) 脊椎損傷合併妊娠4症例の分娩管理
高橋 宏典, 松田 秀雄, 吉田 昌史, 川上 裕一, 古谷 健一
防衛医科大学校産婦人科
【緒言】脊髄損傷者の分娩においては自律神経過反射(Autonomic Hyperreflexia:AH)が最も大きな問題とされ,近年,硬膜外麻酔を併用することで,その発生頻度を減少させるといわれている. 【症例】2000年1月から2005年4月までに当院において分娩管理した4症例6分娩に注目した.〈症例1〉38歳,初産婦.Th12損傷.妊娠経過に異常を認めなかった.38週0日,硬膜外麻酔下に分娩誘発し,3180 gの男児を吸引分娩にて娩出.翌年,再度妊娠.37週6日,分娩誘発し,3250 gの男児を娩出した.〈症例2〉23歳,初産婦.C5不全損傷.妊娠経過中,軽度の羊水過少が認められた.39週6日,non-reassring fetal statusのため硬膜外麻酔下,緊急帝王切開術を施行した.3年後,再度妊娠.36週5日,前回帝切のため選択的帝王切開術を施行した.〈症例3〉39歳,初産婦.Th10損傷.妊娠経過に異常を認めなかった.妊娠37週5日,硬膜外麻酔下に分娩誘発し,2415 g男児を娩出した.〈症例4〉25歳,初産婦.12歳時にC7および膀胱・尿道損傷し,尿ストーマを増設した.経腟分娩に伴う尿路系損傷を危惧し,36週5日,硬膜外麻酔下に選択的帝王切開術を施行した.4症例とも分娩時に合併症をおこすことなく,安全に分娩できた. 【考察】硬膜外麻酔を併用することでAHを予防できた.分娩様式に関しては原則経腟分娩が望ましいと考えられるが,個々の症例で神経損傷の程度や合併症は大きく異なり,症例毎に詳細に検討する必要があると考えられた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 42(3)
338-338, 2005
|