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第110回学術集会(平成17年10月15日(土),16(日))
【一般演題】
妊娠・分娩(5) 妊娠後期に肝機能障害と尿崩症を合併した1例
鈴木 麻水, 佐藤 孝道, 栗下 昌弘, 板坂 俊典, 木村 俊夫, 齋藤 理恵, 塩田 恭子, 酒見 智子, 真島 洋子, 藤田 聡子, 秋谷 文
聖路加国際病院産婦人科
妊娠後期に肝機能異常を呈する主な疾患として,HELLP症候群や急性妊娠脂肪肝が挙げられ,両者ともに対応が遅れると予後不良な疾患である.また,妊娠後期に発症し産後急速に軽快する妊娠時一過性尿崩症も知られており,妊娠急性脂肪肝と合併するという報告もある.機序に関しては,vasopressinaseの関与,prostaglandinの関与,Henle係蹄や集合管の機能障害など諸説が挙げられているが明確には解明されていない.今回,妊娠後期に肝機能障害および多飲多尿で発症した尿崩症様症状を呈し,産後急速に軽快した症例を経験したので報告する. 【症例】45歳,1回経妊0回経産 特記すべき既往歴はなし.妊娠経過も異常なし.妊娠37週頃より気分不快,口渇,多飲多尿が出現した.症状は次第に増強し,妊娠38週2日に不正性器出血で来院,同日入院となった.入院後も同症状は持続し,嘔吐も出現した.血液検査上,血小板 12万/μl,AST586 IU/l,ALT475 IU/l,LDH959 IU/l,総ビリルビン1.8 mg/dlと肝機能障害を認めた.HELLP症候群や急性妊娠脂肪肝を疑い,同日緊急帝王切開術を施行した.術後は多尿,低浸透圧尿などの尿崩症様症状を認めたが急速に改善,肝機能障害も順調に低下し術後11日目に退院となった.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 42(3)
340-340, 2005
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