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第110回学術集会(平成17年10月15日(土),16(日))
【一般演題】
妊娠・分娩(5) 妊娠に合併した広汎な脱落膜変化を示した卵巣襄胞の一例
小古山 学, 町田 静生, 森松 友佳子, 渡辺 尚, 大和田 倫孝, 松原 茂樹, 鈴木 光明
自治医科大学産婦人科
妊娠に卵巣腫瘍あるいは付属器腫瘤が合併することはしばしばみられるが,大部分は良性であり,悪性腫瘍はおよそ2―6%といわれる.今回,術前の画像検査により充実性部分が見られたため悪性卵巣腫瘍を疑ったが,術後の病理組織検査で特異的な像を示した良性卵巣襄胞を経験したので報告する.症例は32歳,0経妊.既往歴,子宮内膜症.2絨毛膜2羊膜双胎妊娠と診断され,妊娠初期は前医にて妊娠経過を観察されていた.その際,5 cm大の左卵巣襄胞を指摘されていた.妊娠15週に当科に転院し,襄胞像は8×5 cm大と増大傾向を認めていた.超音波検査では嚢胞は単房性であったが,内部に辺縁不整の乳頭状隆起があり,カラードップラーでその部位に血流が確認された.また,MRIにても同様の充実性部分がみられた.血清CA 125は15週で119 U/mlから18週で171 U/mlと上昇傾向を示した.悪性卵巣腫瘍の可能性を疑い,十分なインフォームドコンセントのうえ,19週に左付属器切除術を施行した.肉眼的にも襄胞壁の乳頭状隆起を認め,術中迅速病理診断を提出した.組織学的検査の結果は『脱落膜変化および浮腫を伴う単純性嚢胞』であった.本症例は,腫瘤の増大,乳頭上隆起および同部の血流の存在,血清CA 125の上昇など悪性腫瘍を疑う所見が認められた.しかしながら組織学的検査の結果は脱落膜変化という稀なものであったため報告する.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 42(3)
340-340, 2005
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