|
<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る
第110回学術集会(平成17年10月15日(土),16(日))
【一般演題】
妊娠・分娩(6) 胎児鏡下胎盤吻合血管レーザー凝固術(FLP)を施行した双胎間輸血症候群(TTTS)25例の検討
林 聡1), 左合 治彦1), 神部 友香理1), 望月 昭彦1), 鈴木 啓太郎1), 塚原 優己1), 久保 隆彦1), 千葉 敏雄2), 北川 道弘1), 名取 道也1)
国立成育医療センター周産期診療部1), 国立成育医療センター特殊診療部2)
【目的】双胎間輸血症候群(TTTS)の予後は極めて不良で,周産期管理の向上が課題とされ,胎児鏡下胎盤吻合血管レーザー凝固術(FLP)が導入された.今回,当センターにおけるTTTSに対するFLPの治療成績ついて検討を行なった.【方法】平成15年2月から平成17年6月末までに施行したFLPは25例であった.妊娠26週未満のTTTSでQuintero Stage(QS)分類StageII以上を適応とし,倫理委員会承認のもと患者夫婦に十分な説明の後,FLPを希望された症例に施行した.胎児鏡を受血児の羊水腔に挿入し,胎盤表面の吻合血管を同定し,YAGレーザーにて凝固した.治療後は切迫流早産に対する治療を行った.出生後,児の神経学的予後の評価は生後1ヶ月以上の時点で行った.【成績】FLPを施行したTTTS症例のQS分類はStageII,III,IVがそれぞれ6例(24%),14例(56%),5(20%)であった.治療後7日以内,28日以内の破水例はそれぞれ1例(4%),2例(8%)で,治療後7日以内の流早産は1例(4%)であった.分娩となった20例の分娩週数(中央値)は32.9週で治療後の在胎週数(中央値)は11.8週であった.2児とも生存した症例は10例(50%)で,少なくとも1児が生存した症例は16例(80%)であった.生後1ヶ月の段階で神経学的所見を認めなかった症例は生存児26例中25例(96%)であった.【結論】さらなる症例数の蓄積と神経学的予後に関する長期的フォローが必要であるが,今回の成績は欧米と同等の良好な成績であり,TTTSに対するFLPの有効性が確認された.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 42(3)
342-342, 2005
|