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第110回学術集会(平成17年10月15日(土),16(日))
【一般演題】
妊娠・分娩(6) 妊娠中期に発症した妊娠性疱疹の一例
元木 葉子1), 小山 麻希子1), 喜多村 薫1), 永田 智子1), 大前 真理1), 春木 篤1), 奥田 美加1), 石川 浩史1), 高橋 恒男1), 西 香織3), 山川 有子3), 平原 史樹2)
横浜市立大学附属市民総合医療センター母子医療センター1), 横浜市立大学医学部産婦人科2), 横浜市立大学附属市民総合医療センター皮膚科3)
妊娠性疱疹(Pemphigoid gestationis)は,妊娠中期〜後期に発症する水疱性多形性滲出性紅斑で,1,700〜50,000妊娠に1例と非常に稀な疾患である.正常胎盤の羊膜基底膜部に,母体の表皮基底膜部と共通のヘミデスモゾーム構成蛋白のBP180抗原が存在し,これに対する抗体が母体の表皮基底膜部に沈着して補体を活性化するという自己免疫的機序が病因と考えられている.児が低出生体重児・SFD児となる頻度が高いとの報告もあり,産科臨床的に問題となる例がある.今回我々は,妊娠中期に妊娠性疱疹を発症した妊婦にステロイド加療後,外来管理中に羊水過少を認め,non-reassuing fetal statusにて帝王切開となった症例を経験したので文献的考察を加え報告する.症例は22歳0回経妊0回経産,妊娠23週2日急速に発症し掻痒を伴う紅色小丘疹の全身性多発を主訴に近医皮膚科受診.ステロイド含有軟膏の塗布・ステロイド点滴静注にて軽快せず,当院に紹介となった.皮膚生検で皮膚基底膜に線状に沈着するC3を認めたこと,血清中に抗BP180抗体を認めたことより妊娠性疱疹と診断し,妊娠34週までステロイドによる加療を行った.その後,外来でフォローしていたが,妊娠39週2日子宮内胎児発育遅延および羊水過少が疑われて再入院管理となった.入院後,NST上non-reassuring fetal statusとなり,緊急帝王切開術を施行し,2,546gの男児を得た.児の2.8〜10%に,自然軽快する母体同様の水疱を認めることがあると言われているが,今回,児に水疱は認めなかった.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 42(3)
343-343, 2005
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