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第110回学術集会(平成17年10月15日(土),16(日))
【一般演題】
妊娠・分娩(7) 拘厄性イレウスをきたした子宮筋腫合併妊娠の一例
渡邊 弓花, 森川 香子, 名古 崇史, 渡部 真梨, 谷内 麻子, 小林 陽一, 井槌 慎一郎, 三室 卓久, 斉藤 寿一郎, 石塚 文平
聖マリアンナ医科大学産婦人科
【症例】28歳0妊0産【既往歴】橋本病【現病歴】前医で子宮筋腫合併妊娠と診断.その後,切迫流産,子宮筋腫合併妊娠(径10 cm大)のため前医に入院,加療していたが次第に下腹痛が出現し増強したため妊娠15週に当院紹介,入院となった.安静と抗生剤投与により症状,検査所見は改善したため妊娠18週に退院,外来フォローアップとなった.妊娠27週5日に上腹部痛を訴え来院.来院時,上腹部の自発痛と圧痛を認め,腸蠕動音は減弱していた.子宮収縮は認められず,内診と経膣超音波でも明らかな切迫早産兆候はなかった.児の発育は妊娠週数相当であり,子宮筋腫の圧痛はなかった.血液検査ではCRPの軽度上昇のみであったが,入院管理とした.翌日腹痛は次第に増強,腹部単純X-Pでは小腸は二ボーを形成しておりイレウスの診断で胃管による減圧を測った.原因精査のための腹部単純CTでは明らかな拘厄性イレウスを示す所見はなく経過観察となった.第2病日に上腹部痛の更なる増強を認め痛みのコントロールが不能であることと原因精査のため,消化器外科とともに試験開腹および帝王切開術を施行した.子宮底部の子宮筋腫に大網が癒着しており,その間隙に小腸が入り込み拘厄されていた.周辺の小腸は暗赤色を呈していたが腸切を行わずにイレウス解除とイレウス管挿入を行ない,子宮筋腫は温存して終了した.術後は腸蠕動を促し,徐々に食事摂取を開始して術後15日目に退院したが,その後も術後イレウスを繰り返して2回入院加療となった.現在は外来で経過観察中である.【結語】子宮筋腫合併妊娠は妊娠年齢の上昇に伴い増加傾向にある.子宮筋腫もイレウス発症の一因となりうることを報告した.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 42(3)
344-344, 2005
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