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第110回学術集会(平成17年10月15日(土),16(日))

【一般演題】
妊娠・分娩(7)
一過性意識消失発作を契機として診断された脳腫瘍合併双胎妊娠の一例


土谷 麻央, 寺内 公一, 久保田 俊郎, 麻生 武志
東京医科歯科大学医学部附属病院周産・女性診療科産婦人科


 一過性意識消失発作を契機として診断された脳腫瘍合併双胎妊娠の一例を経験したので報告する.症例は36歳の1回経産婦で,妊娠18週2日に当科を受診した.前医からの紹介状はなく詳細は不明であったが,自然妊娠の2絨毛膜性双胎と考えられた.以後通常の妊婦健診を行っていたが,妊娠27週2日に自宅で一過性の意識消失発作を起こし,当科に緊急入院した.入院後の問診によって,2年前よりパニック障害の診断で近医より抗不安薬,抗うつ薬などを処方されていたが妊娠後に内服を中止していたことが判明した.意識消失発作とパニック障害との関連が疑われたが,その後施行した頭部MRIでは右側頭葉内側(扁桃核)に腫瘍性病変が認められた.画像上の特徴よりこの腫瘍はdysembryoplasticneuroepithelialtumor(DNT)と呼ばれる良性腫瘍であり,不安発作や意識消失発作は,側頭葉内側起始の単純あるいは複雑部分発作と考えられた.以後慎重に妊娠経過を観察し,妊娠36週5日に選択的帝王切開にて2児を娩出した.産褥経過には特に問題なく,分娩後2ヶ月で当院脳神経外科に再入院し,脳腫瘍切除術を施行した.術後3ヶ月の現在,軽度の滑車神経障害を残すのみで経過は良好であり,不安発作や意識消失発作等は見られなくなっている.我々が文献を検索し得た限りではこれまでにDNT合併妊娠の報告はない.妊娠中の意識消失発作の鑑別診断等を含めて本症例につき考察を加えたい.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 42(3) 346-346, 2005


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