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第110回学術集会(平成17年10月15日(土),16(日))
【一般演題】
妊娠・分娩(8) 妊娠初期に深部静脈血栓症を発症し分娩後まで抗凝固療法を要した抗カルジオリピン抗体陽性妊婦の一例
伊藤 高太郎1), 榊原 嘉彦1), 渡邉 豊治1), 山本 豊作1), 野口 浩2)
豊科赤十字病院産婦人科1), (旧)国立松本病院産婦人科2)
【症例】既往歴:特記すべきことなし.1経妊1経産.前回平成12年7月正常分娩.その時の妊娠中,分娩,産後に特変なく,血栓症等も見出されていない.家族歴:特記すべきことなし.【経過】平成16年9月1日〜6日間を最終月経として妊娠.妊娠9週時,重症悪阻にて入院加療を要した.妊娠14週時,左下肢の腫脹と歩行困難を訴え来院.カラードップラー法およびMRAにて左腸骨静脈部での血流の完全途絶を認め,ヘパリン投与開始した.抗カルジオリピン抗体(基準値10.0 U/ml以下)59.6 U/mlであった.妊娠19週時,カラードップラー施行し左腸骨静脈の血流再開を確認した.その後外来にてヘパリン10,000単位x2回/day皮下注続行.妊娠38週6日,陣痛発来し正常経膣分娩となった.出生体重3222 g,AS 8-9-10総出血量301 g.分娩12時間後ヘパリン皮下注再開した.産後2日目よりワルファリン内服開始し現在に至る.【結果】妊娠初期に深部静脈血栓症を発症した抗カルジオリピン抗体陽性妊娠の一例を経験した.同症合併妊娠においては肺動脈血栓塞栓症の発症が第一に危惧されるが妊娠中はヘパリン,分娩後はワルファリンの投与により合併症を起こすことなく無事妊娠出産を経た.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 42(3)
346-346, 2005
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