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第110回学術集会(平成17年10月15日(土),16(日))
【一般演題】
妊娠・分娩(8) 妊娠初期に深部静脈血栓症発症し,管理に苦慮した一例
土田 梨加, 川瀬 史愛, 藤原 佳子, 朴 正順, 萩原 憲治
船橋二和病院産婦人科
基礎疾患やリスクを有しない妊娠中の深部静脈血栓症の報告が近年増加しつつある.われわれは今回,妊娠初期に深部静脈血栓症を発症し,その管理に苦慮した一例を経験したので報告する.患者は35歳0経妊0経産.特記すべき既往歴や家族歴を認めず.’04年3月妊娠11週時に左下腿腫脹・疼痛認め来院.深部静脈血栓症疑いにて入院となった.下肢のドップラーエコーにて左総腸骨静脈に広範囲に血栓が認められ,へパリン・バイアスピリンにて抗凝固療法開始.プロテインSが若干低下していた以外,先天性の血栓性疾患を示唆する所見は認められなかった.コントロール良好となったところでヘパリンをヘパリンカルシウム(カプロシン)の皮下注に変更し,外来管理としていたが原因不明の膨疹発生し,再入院.抗凝固剤のアレルギーを疑い,ダナパロイドナトリウム(オルガラン)静注に変更した.しかし,変更後2週間ほどで再度膨疹発生し,その後分娩まで入院し,ヘパリン持続点滴を行った.深部静脈血栓症以外にも妊娠糖尿病(境界型),低置胎盤,羊水過多等認められたが,40週0日に陣痛発来,一時的下大静脈フィルター挿入し経腟にて分娩となった.児はアプガー8/9点,母体は出産後抗凝固剤をワーファリンに変更し,現在も外来にて管理中である.今回の症例に基づき,若干の文献的考察もふまえて報告する.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 42(3)
347-347, 2005
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