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第110回学術集会(平成17年10月15日(土),16(日))
【一般演題】
妊娠・分娩(8) 帝王切開術術後に肺塞栓・心房内血栓症を発症した一例
五十嵐 豪, 井槌 慎一郎, 井埜 まり絵, 堀永 宏史, 中村 真, 石塚 文平
聖マリアンナ医科大学産婦人科
肺塞栓症は,妊産婦死亡の主要要因ともなっており,その85%は深部静脈血栓症(DVT)から生じ,10%は,発症から1時間以内に死亡するとも言われている.今回当院で経験した,重症肺栓症の症例を提示する.症例は,36才,初産,MD双胎,子宮筋腫合併症例である.30―35%の胎児発育不均衡を認めたため,妊娠30週から入院管理していた.妊娠36週1日,第1児のvariabilityの減少を認め,陣痛様の規則的子宮収縮も認めたため,緊急帝王切開を施行した.術前より弾性ストッキングを着用し,術中より間欠的空気圧迫法を行っていた.術後1日目,清拭のためにベット上で身体を起こした時に胸部痛・呼吸苦が出現したため,肺塞栓症を疑いCT検査を行ったところ,CT上両側肺動脈内に血栓を認め,心エコーで右心房内に浮遊する巨大な血栓を認めたため,緊急で人工心肺下血栓除去術を施行した.両側の肺動脈内,右房内にそれぞれ5〜10 cmの血栓を認めた.幸い術後経過は良好で,後遺症を残すことなくワーファリン投与下で退院となった.なお本症例では,DVTの存在は確認できなかった.今回我々は,当院過去3年間の産科DVT・PE症例を提示するとともに,平成16年に発表された深部静脈血栓症・肺塞栓症の一次予防に関するガイドラインをふまえた,当院における周産期のDVT・PEの管理・治療について報告する.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 42(3)
348-348, 2005
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