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第110回学術集会(平成17年10月15日(土),16(日))
【一般演題】
子宮筋腫(1) 閉経後に発症し消化器症状を繰り返した漿膜下子宮筋腫茎捻転の一例
山本 由紀, 杉林 里佳, 高野 忍, 藤原 礼, 古賀 祐子, 古澤 嘉明, 大塚 伊佐夫, 鈴木 真, 己斐 秀樹, 亀田 省吾, 清水 幸子
亀田総合病院産婦人科
一般的に閉経後に子宮筋腫は縮小傾向にあり,問題になることは少ない.今回,閉経後に発症し,消化器症状を繰り返した漿膜下子宮筋腫茎捻転の一例を経験したので報告する.症例は66歳1経妊0経産.平成14年頃より突然発症し排便後軽快する右下腹部痛を認め,他院の内科で慢性便秘症と診断され,外来で経過観察となっていた.平成15年他院婦人科受診時に,子宮筋腫を指摘されていた.その後も同様の症状を繰り返し嘔気も出現してきたため,注腸を施行されたが異常を認めなかった.平成17年2月4日,右下腹部痛が出現し前医受診した.症状の改善無く同日精査入院となった.消化器疾患を疑われ,上部下部消化管内視鏡検査を施行されたが,特に異常を認めなかった.入院後に38度台の発熱及び炎症反応の上昇を認めたため腹痛の原因は腹腔内感染と考えられ,抗生剤投与されたが,腹痛は軽快しなかった.子宮筋腫も腹痛の原因として挙げられ,2月15日second opinion目的で当科紹介となった.内診上子宮筋腫に圧痛認め,腹痛の原因は子宮筋腫の可能性が高いと考え,開腹手術を行なった.手術所見では子宮底部に発生した漿膜下筋腫の茎捻転を認め,子宮筋腫はダグラス窩に陥入していた.周囲の腸管と広範に癒着し,腸を圧排していた.そのため便秘を繰り返し,排便後軽快したと考えられた.病理診断では平滑筋腫の所見であり,術中診断との矛盾はなかった.術後現在まで腹痛なく経過している.消化器症状を繰り返す婦人科疾患もあり,このことを臨床上念頭に入れておくことは重要であると考えられた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 42(3)
359-359, 2005
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