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第110回学術集会(平成17年10月15日(土),16(日))
【一般演題】
子宮筋腫(2) mini−laparotomyによる筋腫核出術
錢 鴻武, 秋谷 文, 鈴木 麻水, 藤田 聡子, 真島 洋子, 酒見 智子, 塩田 恭子, 齋藤 理恵, 木村 俊夫, 板坂 俊典, 栗下 昌弘, 佐藤 孝道
聖路加国際病院産婦人科
目的:子宮筋腫は生殖年齢婦人に発生し,巨大化することが多い代表的良性疾患である.美容的観点から6 cm以下の腹壁手術創をmini-laparotomyと定義し,この比較的小さな創部から安全かつ確実に子宮筋腫核出術を行う方法を検討. 対象:2003年7月から2005年3月に,当科で実施したmini-laparotomyによる子宮筋腫核出術28例(以下,M群)を対象にした.対照群は切開創がそれ以上であった同期間内の開腹子宮筋腫術114例(以下,L群)とした. 結果:1)平均出血量はM群,L群でそれぞれ319±537 ml,313±360 ml.平均手術時間はM群,L群でそれぞれ128±42分,150±62分.2)核出した筋腫の重量はM群,L群でそれぞれ755±872 g,517±377 g,個数は7.1±6.2個,8.8±10.4個.M群のうち,1000 g以上核出したのは4例(14.3%)あり,それぞれ3500 g,2200 g,1400 g,1010 g.3)術後鎮痛剤の使用回数はM群で平均1.4±2.0回.そのうち,23例(82.1%)は術後2日目までの使用に留まっており,鎮痛剤を全く使用しなかった例も15例(53.6%)に上った.これに対しL群の鎮痛剤の使用回数は2.9±2.8回であった(p=0.0016). 考察:1)mini-laparotomyでは,より大きい切開と比して,出血量,核出筋腫の重量と個数で,遜色のないことが明らかになった.2)mini-laparotomyでは,術後疼痛の点で,より大きい切開と比較して有意に良好な結果が得られた.3)mini-laparotomyはこのように優れた術式であるが,手術には術者の熟練と術前の十分なプランニングが必要である.特に筋腫核が大きい場合や,核出すべき個数が多い場合は,それぞれの筋腫を核出する順番とアプローチの方向についてプランニングを行うことが重要と考えられた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 42(3)
361-361, 2005
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