|
<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る
第110回学術集会(平成17年10月15日(土),16(日))
【一般演題】
腹腔鏡手術 卵巣出血の臨床的検討
梅澤 幸一, 酒井 英明, 椎橋 文子, 萩野 大輔, 島田 信敬, 本藤 徹, 菅生 元康
長野赤十字病院産婦人科
卵巣出血は,産婦人科領域の急性腹症で緊急手術が必要となる疾患として重要である.また特に妊娠合併例では鑑別診断が困難であり,手術により診断が確定されることも稀ではない.当科において1992年1月から2005年5月までの14年間に経験した,手術を必要とした卵巣出血症例について検討した.症例は計13例で,平均年齢は26.3歳(19〜37)であった.発症時平均月経周期は27日目(12〜46),妊娠例が2例,妊娠例を除く黄体期の発症例は7例(63%)であった.右側卵巣の発症例は5例(40%),平均出血量は885 ml(170〜4700),輸血例が2例であった.同期間に手術を施行した他の急性腹症は子宮外妊娠例が177例,卵巣嚢腫茎捻転例が48例,卵巣腫瘍破裂例が13例であった.卵巣出血は日常の臨床で経験する疾患であるが,保存的な治療で解決することが多く,外科的治療を必要とする頻度は少ない.しかし,その管理は厳重でなければならない.持続する腹腔内出血や出血量の増加,不安定な循環動態などを認めた場合は,迅速に外科的処置へふみきることが肝心である.当科では,卵巣出血の手術は内視鏡下で行うことを原則としているが,疾患の緊急性を考えると,常に開腹手術を念頭に置く必要がある.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 42(3)
363-363, 2005
|