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第110回学術集会(平成17年10月15日(土),16(日))
【一般演題】
腹腔鏡手術 腹腔鏡下癒着剥離術が有効だった慢性骨盤痛の一例
石川 哲也, 本原 将樹, 苅部 瑞穂, 野口 有生
大和徳洲会病院産婦人科
慢性骨盤痛は婦人科日常診療において頻繁に遭遇する疾患であるが,その診断には苦慮することも大変多い.今回我々は慢性骨盤痛と排尿症状を訴える患者に対して腹腔鏡下癒着剥離術を施行し有効だった症例を経験したので報告する.症例:2年前から膀胱子宮窩に子宮筋腫と思われる小さな腫瘍の存在を認めていたが,原因の特定に至らない慢性骨盤痛および排尿末期痛と頻尿感を訴えていた.鎮痛剤の投与のみ行われていたが,症状の改善を認めないため当院を紹介受診となり,本人の希望で腹腔鏡検査を施行することになった.その結果,術前検査で子宮筋腫と思われた腫瘍の存在部位には膀胱が広範囲にわたって癒着しており,子宮筋腫ではないことが明らかになった.慢性骨盤痛と排尿症状は,膀胱が子宮前面に癒着していることが原因で生じていると考え,腹腔鏡下にて癒着剥離術を行った.術後は早期より排尿末期痛および頻尿感に改善が見られ,手術後7日目の外来受診では骨盤痛も軽快していた.慢性骨盤痛に対しての腹腔鏡検査および腹腔鏡下癒着剥離術の有用性は未だ議論の余地はあるが,本症例のように原因となる疑わしい所見がある場合においては有効な方法であると考えられた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 42(3)
364-364, 2005
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