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第110回学術集会(平成17年10月15日(土),16(日))
【一般演題】
卵巣腫瘍(2) 腫瘍マーカーが異常高値を示した皮様嚢腫の1例
土屋 雄彦, 谷口 智子, 有馬 香織, 大路 斐子, 三枝 美智子, 松江 陽一, 宮岸 玲子, 平野 孝幸, 前田 光士
都立荏原病院産婦人科
卵巣腫瘍において腫瘍マーカーは良性・悪性の鑑別補助診断として有用であるが,月経・妊娠・炎症などの影響により測定値が変動することも知られている.今回我々は,腫瘍マーカーが異常高値を示した皮様嚢腫の症例を経験したので報告する.症例は27歳0回経妊0回経産,下腹痛を主訴に当院内科を初診し,腹部腫瘤認めたため,当科初診となった.超音波検査・MRI検査にて14×8×10 cm大の左卵巣嚢腫を認め,造影にて明らかな増強効果を呈する充実成分は認められなかった.腫瘍マーカーを検査したところCA19-9:5800 U/ml,CA125:35 U/ml,CA72-4:2.9 U/ml,SCC:4.0 ng/mlとCA19-9とSCCが異常高値を示した.再度腫瘍マーカーを検査したところCA19-9:3570 U/ml,CA125:27 U/ml,CA72-4:8.0 U/ml,SCC:2.6 ng/mlとわずかに減少を認めた.本人に画像上は悪性の所見は認められないが腫瘍マーカーが高値であり,悪性の可能性も不定できないとインフォームドコンセントした.平成17年2月10日に腹腔鏡下手術を施行した.迅速病理検査の結果は,悪性所見認めなかったため,左卵巣嚢腫摘出術を体外法にて施行した.病理検査の結果はMature cystic teratomaであった.手術後3日目に経過良好にて退院となった.退院後に腫瘍マーカー検査を施行したところ,CA19-9:43 U/ml,CA125:12 U/ml,SCC:1.2 ng/mlと低下した.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 42(3)
364-364, 2005
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