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第110回学術集会(平成17年10月15日(土),16(日))
【一般演題】
卵巣腫瘍(2) 成熟嚢胞性奇形種に合併した卵巣索状カルチノイドの一例
平敷 好一郎1), 平井 真紀子1), 海野 洋一1), 楯 真一1), 碓井 宏和1), 三橋 暁2), 山澤 功二2), 永井 雄一郎3), 松井 英雄2)
千葉大学医学部附属病院婦人科1), 千葉大学大学院医学研究院生殖機能病態学2), 千葉大学大学院医学研究院病態病理学3)
卵巣原発のカルチノイドは比較的稀な腫瘍で,臨床的に下痢,皮膚紅潮などの症状を伴うカルチノイド症候群を合併することが知られている.一方で,頑固な便秘を主訴とする症例も報告されており,これらは腫瘍細胞が消化管の運動を抑えるペプチドYYというホルモンを過剰に産生,分泌することで引き起こされると考えられている.今回我々は臨床的に頑固な便秘症状を伴う,成熟嚢胞性奇形腫に合併した卵巣索状カルチノイドの一例を経験したので報告する.【症例】33歳女性.1経妊1経産.22歳時から便秘症状あり,次第に増悪傾向認めるようになる.近医内科受診にてMRI施行したところ,下腹部に腫瘤を指摘され精査目的にて当科紹介受診となった.子宮後方に径10 cm大の充実性腫瘤を認め,これと接するように成熟嚢胞性奇形腫と考えられる所見を認めた.腫瘍マーカーにてCEA 8.7 ng/ml,CA19-9が200.5 U/mlと高値を示し,卵巣悪性腫瘍の可能性も考慮,平成17年4月14日に手術施行となった.術中所見にて子宮は正常大,左靱帯内に発育する卵巣腫瘍を認め,左付属器切除施行.術中の腹水細胞診は陰性であった.【病理組織所見】摘出標本は14x11x8 cm大,割面が黄白色均一の充実性腫瘤と一部に毛髪を含む嚢胞性病変が一塊として認められた.組織学的には嚢胞性病変においては成熟嚢胞奇形腫の像を認め,充実性病変においては線維性間質を伴い類円形の核および円柱状の細胞質を含む腫瘍細胞の索状ないしリボン状の増殖が認められた.免疫組織化学染色にてchromograninA,CD57陽性であり索状型のカルチノイド腫瘍と診断された.【術後経過】術後便秘症状は速やかに改善を認め,現在経過良好にて外来経過観察中である.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 42(3)
366-366, 2005
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