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第110回学術集会(平成17年10月15日(土),16(日))
【一般演題】
卵巣腫瘍(2) 皮様嚢腫の漏出による汎発性腹膜炎
小口 治, 長田 久美, 井吹 ゆき, 仲井 育子
厚生連佐久総合病院産婦人科
皮様嚢腫は頻回に経験する疾患であるが被膜破綻が合併するのは1%前後とまれである.しかしもたらされる腹膜炎は重篤とされている.我々は発症後診断まで約1ヶ月経過し,全身状態が悪化して開腹時には著しい腹膜炎に陥っていた症例を経験した.症例は41歳,本年2月下腹部痛と胸痛が生じ翌日前医を受診したが胸膜炎の診断であった.症状が増悪し前医内科へ入院,原因精査が行われた.両側卵巣腫瘍が認められ婦人科に紹介されたものの原因とは指摘されなかった.頭部MRI,Gaシンチ,心エコー,骨髄穿刺まで行われたが診断がつかず抗生物質の投与が繰り返されていた.胸腹水が貯留し全身状態の悪化が進んだため発症後約1ヵ月後に当院内科へ転院,当科紹介となった.皮様嚢腫の破綻による汎発性腹膜炎と診断し両側付属器切除を行ったが腹腔内は著しい癒着があり手術は困難を極めた.術後は腸閉塞に注意しながら回復をはかったが退院まで約7週間を要した.本例の経過と問題点についてまとめた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 42(3)
366-366, 2005
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