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第110回学術集会(平成17年10月15日(土),16(日))
【一般演題】
卵巣腫瘍(3) 子宮内膜症を伴った卵巣硬化性間質性腫瘍の1例
揖斐 孝之1), 茆原 弘光1), 松野 邦彦1), 松橋 智彦1), 朝倉 禎史1), 松村 好克1), 里見 操緒1), 渡辺 美千明1), 鴨井 青龍1), 河村 堯1), 竹下 俊行2)
日本医科大学付属千葉北総病院産婦人科1), 日本医科大学産婦人科2)
卵巣硬化性間質性腫瘍(sclerosing stromal tumor:SST)は月経不順を訴える若年女性に多い性索間質性腫瘍である.今回,SSTで子宮内膜症を合併した1例を経験したので報告する.症例は29歳,未婚未経妊の女性である.2005年2月より不正性器出血と,数日前から下腹部痛,腹部膨満感を主訴として近医内科を受診,経腹超音波検査にて腫瘤が認められ,卵巣腫瘍の疑いで当科紹介.腹部所見では臍下部から下腹部にかけて比較的弾性のある腫瘤を触知.経膣超音波およびMRI,CT検査にて子宮後方に径7×13 cmの不整な内腔壁を呈する嚢胞状の構造のある腫瘍を認めた.血中腫瘍マーカーはβhCGのみ数値が極軽度上昇していた.MRI所見で血管拡張が著明で壊死性変化が強く,右背側に内膜症性嚢胞様のT1高信号,T2低信号域を伴う左卵巣腫瘍であった.CT所見では左閉鎖リンパ節の腫脹と腫瘍背側の不整構造も認めた.卵巣悪性腫瘍を疑って左付属器切除術を実施.術中所見:乳白色弾性のある左卵巣腫瘍.術中迅速診断では良性の富細胞性線維腫(cellular fibroma)であった.左閉鎖リンパ節の腫脹は確認されなかった.病理組織所見では紡錘形細胞と細胞質が空胞状に抜けた卵円形細胞が拡張,増生した血管を伴う増殖するSSTと診断.一部には嚢胞状壁を円柱上皮が被覆し,ヘモジデリンを貪食したマクロファージが高度に浸潤する子宮内膜症の所見も認めた.本症例にSSTの画像所見,および組織学的考察を加え報告する.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 42(3)
367-367, 2005
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