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第110回学術集会(平成17年10月15日(土),16(日))

【一般演題】
卵巣腫瘍(3)
胸水・腹水を伴った巨大卵巣性索腫瘍の一例


大貫 裕子, 豊島 壮介, 中川 俊介, 大須賀 穣, 矢野 哲, 武谷 雄二
東京大学産婦人科


 今回我々は他院で卵巣癌4期の診断で化学療法を受け,その後4年間病状の悪化を認めず,手術を施行し術後病理にて性索腫瘍と診断した一症例を経験した.ここに若干の文献考察を加えて報告する.【症例】56歳1経産.【経過】4年前に腹部膨満感を自覚し近医を受診.MRIにて卵巣癌と診断されて化学療法(CAP療法3コース施行した後エンドキサンP50 mg/dayを2年間内服)を施行された.その2年後に腹部膨満感の増大を認めたため他院を受診し,巨大卵巣腫瘍,胸水貯留(細胞診陰性)と診断され,手術を薦められるも本人の意思にて無治療で過ごした.その後徐々に腹部膨満感が悪化し,更に2年後に精査目的で当院を受診.腹水・胸水貯留を伴う径30 cmと径15 cmの巨大卵巣腫瘍を認め,腫瘍マーカーはCA125:709 U/ml CA19-9:10 U/ml CEA:3.0 ng/mlであり,卵巣癌の疑いにて胸水を除去した後に手術を施行した.腹水2200 cc吸引,腹水細胞診陰性.腹腔内癒着は軽度であり,径15cmの弾性硬腫瘤と,径30 cmの弾性硬・内側に粘液性嚢胞部分を含む腫瘤合わせて重量7kgの二葉性左巨大卵巣腫瘍を摘出した.また子宮・対側卵巣に明らかな異常は認められず,腹膜病変も認められなかった.術中迅速診断はfibrothecomaであり,両側附属器切除のみ施行した.術後診断はStromal tumor with minor sex-cord element.術後経過は順調で,術後14日目に治癒退院した.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 42(3) 367-367, 2005


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