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第110回学術集会(平成17年10月15日(土),16(日))

【一般演題】
卵巣腫瘍(3)
卵巣血管腫によるpsuedo−Meigs症候群の一例


橘 涼太1), 保倉 宏1), 三橋 祐布子1), 松原 正和2), 本道 隆明1), 木村 薫1)
厚生連篠ノ井総合病院産婦人科1), 伊那中央病院産婦人科2)


 卵巣原発の線維腫,莢膜細胞腫,顆粒膜細胞腫,Brenner腫瘍に胸腹水を伴い,原発腫瘍摘出後に胸腹水が消失し再貯留しないものをMeigs症候群,また原発腫瘍がその他のものをpsuedo-Meigs症候群と定義される.今回我々は卵巣原発腫瘍としては極めて稀な血管腫に伴いpsuedo-Meigs症候群を発症した症例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する.症例は77歳.2002年12月より気管支喘息として近医内科にて加療されていた.2004年7月より呼吸困難を自覚し胸部単純X線検査上右胸水を認めたため当院内科を紹介され受診し入院した.胸水細胞診classIII,胸水培養陰性であり,CT検査上胸水以外に結節・腫瘤影を認めなかった.胸水穿刺を施行し一時退院した.8月より再度呼吸困難を自覚し当院内科へ再入院した.胸部単純X線検査上右胸水を認めるものの胸水に悪性所見は認めなかった.8月30日の腹部・骨盤部CTにて右卵巣腫瘍を指摘され8月31日当科を紹介され初診した.φ5 cmの右卵巣腫瘍を認め,CA125 1,010 U/mLと高値なものの,9月16日のDouglas窩穿刺にても腹水細胞診classIであったため,全身状態も考慮し胸水ドレナージにて保存的に加療する方針とした.しかし連日500 mL程度の排液が減少しないため手術方針となり11月4日両側付属器摘出術を施行した.腹水細胞診classI.右卵巣はφ5 cmと腫大し,表面は易出血性で周囲と軽度癒着していた.左卵巣は小指大であったが易出血性のため摘出した.Douglas窩には器質化した血塊を認めた.術後の病理組織診にて卵巣血管腫と診断された.術後胸腹水は速やかに消失し再発兆候は認めず,psuedo-Meigs症候群の稀少例と考えられた.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 42(3) 368-368, 2005


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