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第110回学術集会(平成17年10月15日(土),16(日))
【一般演題】
卵巣癌(3) 診断に苦慮したホルモン産生の巨大卵巣明細胞癌
中村 貴則, 阿部 弥生, 三和 紀子, 永井 富裕子, 國井 優衣子, 杉山 真理子, 田口 雄史, 田嶋 敦, 野島 美知夫, 吉田 幸洋
順天堂大学浦安病院産婦人科
明細胞腫瘍は従来腎の淡明細胞癌に類似することから,類中腎または中腎腫瘍とも呼ばれてきたが,現在はミュラー管由来と考えられている.発生部位は膣,子宮頚部・体部にも発生するが,卵巣が最も多い.Novakらは卵巣癌中,約7.5%認められるというが,本邦では3〜24%と幅がある.好発平均年齢は52〜53歳である.発生側は大部分で片側性であり,左右差はほとんどない.通常,腫瘍のホルモン活性は認められない.今回我々は,2年前より腹部腫瘤感を認めていたが,自然放置し,平成17年4月に近医初診となり,原発不明の巨大腫瘤で当院紹介となった症例を報告する.<症例>52歳0経妊の女性で5月2日,当院初診時,心窩部から恥骨にかけて単房性の約30cm大の腫瘤認められた.超音波下では腫瘤は充実部の内部で多くの液体が貯留していた.閉経は48歳であったが,前医で妊娠反応陽性であったので,腫瘍マーカー採血に加えてßhCG,エストラジオロール調べたところ,CA125:364.3,CA19-9:338.7,CEA:15.5,ß-hCG:118.2,エストラジオロール:51.9,と異常値を呈した.精査入院後のMRIで卵巣腫瘍,ホルモン産生から胚細胞腫瘍,絨毛性疾患が考えられた.全身状態改善後,5月24日腹式巨大腫瘤摘出術施行となった.手術時間4時間50分,出血量3115 g,検体重量8200 gであった.術後の採血ではß-hCG,エストラジオロール値は共に低下している.病理診断では,免疫染色でhCGに染まる明細胞癌であった.術後1ヶ月よりTJ化学療法(Taxol,Carboplatin)が開始となり,経過観察中である.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 42(3)
372-372, 2005
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