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第110回学術集会(平成17年10月15日(土),16(日))

【一般演題】
卵巣癌(3)
卵巣明細胞腺癌の臨床病理学的因子に関する検討


加藤 有美, 平沢 晃, 木村 奈央, 山本 阿紀子, 上野 和典, 石谷 健, 山下 博, 田中 淳, 新井 宏治
独立行政法人国立病院機構東京医療センター産婦人科


 【目的】卵巣癌には多種の組織型が存在するが,なかでも本邦で高頻度とされる明細胞腺癌は白金製剤抵抗性で予後不良と考えられており,それらを念頭においた組織型別の治療個別化が急務の課題である.このような背景のもと,臨床病理学的因子と予後との関連を各組織型別に検討することにより,明細胞腺癌の特徴を探ることを目的とした.【方法】1998年以降,当院にて初回治療を施行した上皮性卵巣癌86例(漿液性33例,粘液性7例,類内膜18例,明細胞21例,その他7例)を対象とし,年齢,臨床進行期分類,初回治療法,腹水細胞診成績,化学療法の種類などの臨床病理学的因子と,転帰,disease free survival,overall survivalとの関連を検討した.【結果】全症例の平均年齢は57歳であった.一般に卵巣癌はIII期以上の進行例として発見されることが多いが,明細胞腺癌では他の組織型と比較してI期例が有意に多かった.明細胞腺癌III,IV期例は他の組織型と比較して生存率が有意に低く,抗癌剤抵抗性であることも示唆されたが,一方I,II期では死亡例を一例も認めなかった.全例での検討では,腹水細胞診陽性例において再発例,死亡例が有意に多かった.漿液性腺癌では他の組織型と比較し有意に腹腔細胞診陽性例が多く,また再発例も多かった.【総括】明細胞腺癌においては早期発見が生存率改善に寄与すると考えられる.また明細胞腺癌III,IV期の予後改善を目的とした治療法の確立が急務と考えられた.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 42(3) 373-373, 2005


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