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第110回学術集会(平成17年10月15日(土),16(日))
【一般演題】
卵巣癌(3) 卵巣顆粒膜細胞腫瘍の3例
今田 信哉, 根井 朝美, 熊谷 清, 鬼原 勝之
公立昭和病院産婦人科
症例1は35歳女性で,不正出血を主訴に前医を受診し,巨大多房性卵巣腫瘍が認められた.精査中に腹腔内出血をきたし,当院救急外来へ搬送となり,止血目的に右付属器切除術を行った.腹腔内に2400 ml,腫瘍内に1300 mlの出血があった.病理組織診断は成人型顆粒膜細胞腫で,進行期はIc期であった.妊孕性温存希望であり,追加治療は行わなかった.術後3年間,特に再発を疑う所見はない.症例2は54歳女性で,腹痛を主訴に救急外来を受診され,骨盤腫瘍破裂疑いで救急病棟へ入院するも,翌朝出血性ショックから心停止をきたした.蘇生術施行後,止血目的に左付属器切除を行った.病理組織診断は成人型顆粒膜細胞腫で,進行期はIc期であったが,蘇生後の合併症から術後追加治療はせず,外来管理としたところ,2年後,左傍大動脈リンパ節領域に嚢胞状腫瘤が出現し,徐々に増大.再発の疑いで回復したところ,腹腔内にも播種病変をみとめ,これらを可及的に切除した.術後追加治療は行わず,外来にて経過観察中である.症例3は54歳女性で,右下腹痛を主訴に受診し,右付属器領域に充実性腫瘍がみとめられた.卵巣癌の疑いで開腹したところ,迅速病理診断で顆粒膜細胞種であったため,腹式単純子宮全摘+両側付属器切除+大網切除+患側骨盤リンパ節生検を施行した.腫瘍は自然破綻しており,膀胱子宮窩腹膜と強固に癒着,腹腔内に少量の出血を認めた.病理診断は成人型顆粒膜細胞腫で,進行期はIIc期であった.術後治療としてタキソール・カルボプラチン併用療法を3クール行った.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 42(3)
373-373, 2005
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