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第110回学術集会(平成17年10月15日(土),16(日))
【一般演題】
卵巣癌(4) 下大静脈フィルターの抜去に苦慮した深部静脈血栓症合併卵巣癌の2例
堀越 嗣博, 中江 華子, 根井 朝美, 甲賀 かをり, 松本 光司, 八杉 利治, 大須賀 穣, 矢野 哲, 武谷 雄二
東京大学医学部附属病院女性外科
深部静脈血栓症(DVT)は悪性腫瘍に伴う合併症のひとつであり,周術期に重篤な肺塞栓症(PE)を引き起こすことがある.今回我々は,DVT合併卵巣癌患者に対してPEを予防するために一時的下大静脈(IVC)フィルター(Neuhaus Protect:TORAY)を術前に挿入したものの,術後その抜去に苦慮した2症例を経験したので報告する.【症例1】82才・卵巣癌(類内膜腺癌)Ia期.術前のCTにて左内外腸骨静脈から大腿静脈にかけてDVTが認められたため,周術期のPEを予防するために一時的IVCフィルターの挿入を行った.フィルターは腎静脈下のIVC内に留置する予定であったが,腫瘍による圧迫のためやむなく腎静脈上部に留置された.フィルター抜去前にフィルター内の血栓の確認のためCTを施行したところフィルターが右房内に血栓とともに迷入していることが確認されたため,血管外科医・麻酔科医・心臓外科医立ち会いの下,体外循環を準備した上で無事に抜去することができた.【症例2】50才・卵巣癌(明細胞癌)Ic期.術前のCTにて両下肢静脈にDVTを認めたため腎静脈下のIVC内に一時的IVCフィルターを挿入し,ヘパリン経静脈投与を行った.術後2日目に左下肢の腫脹・疼痛が出現した.CTを行ったところ下肢静脈からフィルターまで静脈内血栓が充満しフィルターは血栓に埋もれていたため,開腹し下大静脈を結紮した上でフィルターを無事抜去し得た.近年,一時的IVCフィルターはDVT合併患者の周術期肺塞栓症予防に普及しつつあるが,今回と同様の合併症が生じる可能性を考えて慎重に診療にあたる必要があると考えられた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 42(3)
375-375, 2005
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