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第110回学術集会(平成17年10月15日(土),16(日))
【一般演題】
子宮悪性腫瘍(2) 腎透析中にTJ療法を施行した子宮頚部腺癌IVb期の1例
宮崎 泰人, 横山 幸代, 有村 賢一郎, 小泉 仁嗣, 藤野 剛, 竹下 茂樹, 梁 栄治, 布施 養慈, 綾部 琢哉, 冲永 荘一
帝京大学医学部産婦人科学教室婦人科
今回我々は子宮頚部腺癌IVb期,慢性腎不全による腎透析中の症例に対し,TJ(paclitaxel+carboplatin)療法を施行したので,その概要を報告する.症例は66歳,1経妊1経産,52歳閉経.平成16年から慢性腎不全で透析中,内科で経過観察のために行った胸部のレントゲン検査・CTスキャンにて左肺下葉に充実性孤立陰影を認め,転移性肺腫瘍と診断,原発巣精査の目的で当科にて診察し子宮頚部腺癌IVb期と診断した.本人および家族が治療を強く希望したため,化学療法としてTJ療法を選択した.通常投与量はpaclitaxel 180 mg/body,carboplatin 100mg/bodyと計算されたが,paclitaxelは肝臓で代謝されるため,肝機能に異常を認めなかった本例では通常量のまま(180 mg/body)とした.一方carboplatinは腎臓から排出される薬剤であり,薬剤投与後の透析でも完全には排出しきれないことがあるため,文献的には通常量の1/2ないし1/3を投与したと報告されている.今回は1/2量(50 mg/body)を投与し,薬剤投与2時間後に透析を施行した.その結果,子宮頚部,肺転移巣共に縮小を認め,腫瘍マーカーも正常化した.副作用としてGrade3の白血球減少,Grade1の末梢神経障害を認めたが治療を延期する必要性は生じなかった.腎透析中においても,薬剤投与量を調節することによりTJ療法は安全に行うことができ,その効果も期待できる方法であると思われた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 42(3)
384-384, 2005
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