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第110回学術集会(平成17年10月15日(土),16(日))
【一般演題】
不妊・内分泌 喫煙の不妊治療に与える影響
染谷 勝巳, 臼杵 さとし, 吉川 裕之
筑波大学産婦人科
【目的】女性の妊娠中の喫煙に関してはマスコミや医師の啓蒙などでIUGRをはじめとするマイナス面が広く社会に知られている.その一方で喫煙が同様に妊孕性に対してもマイナスになることは十分に認知されているとは言いがたい.WHOは喫煙女性は非喫煙女性に比べ2年早く閉経することを警告している.今回不妊治療における喫煙の影響を比較検討した.【方法】対象は2001年より作成した当科不妊外来データベースから抽出した全患者633名中喫煙歴の不明な35名を除いた598名である(2005年6月20日現在).卵巣機能は一般的に不可逆であることを鑑み,不妊外来初診時点で過去一日タバコ1本以上の喫煙歴を有するものを喫煙群(A群;n=126),過去に全く喫煙歴のないものを非喫煙群(B群;n=472)とし,それ以降の禁煙歴は考慮しないことにした.【成績】患者あたりの平均年齢はA群31.4歳±5.2歳,B群34.3歳±5.0歳と3歳近くもA群が若く(p<0.01),卵巣機能の早期低下などが懸念された.また最終的な患者あたりの妊娠率もA群41.3%,B群45.8%と差が認められた(n. s. ただし年齢のマッチングせず).妊娠例の初診日より妊娠に要した平均日数はA群で299.2±283.4日,B群で424.8±431.7日とA群で短く(p<0.05),実治療期間の短縮傾向が認められた.【結論】若い女性の喫煙率が上昇中の昨今,喫煙による妊孕性の低下は出生率の低下を議論するのと平行して社会的に広く啓蒙していく必要性がある問題と考えられた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 42(3)
390-390, 2005
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