|
<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る
第110回学術集会(平成17年10月15日(土),16(日))
【一般演題】
不妊・内分泌 不妊症患者におけるグループ心理療法の実際
高橋 千果, 松林 秀彦, 鈴木 隆弘, 渡辺 未央, 池田 仁恵, 和泉 俊一郎
東海大学医学部産婦人科
不妊症患者の心理状態で疑いがないのは「不安」と「抑うつ」であり,不妊症患者の心理で最も研究されしかもその重要性が指摘されている.このような「不安」「抑うつ」は「不妊であること」の結果であると解釈され,これは大変理解しやすい.一方,「不安」「抑うつ」が強い人ほど妊娠率が低いという報告もこの数年多くなっており,心の問題がさらなる不妊をもたらす可能性が指摘されている.不妊治療を続けて行くうちに,「不安」「抑うつ」と「不妊」の悪循環に陥ってしまっているのではないかと考えるのである.この悪循環を断ち切るために,不妊治療における心のケアの必要性があると私達は考えている.「不安」「抑うつ」を減少させる手段として,消極的には通院をやめることがあり,積極的には心理療法による介入を行うことがあげられる.後者として,グループ心理療法の取り組みは2000年初頭から行っており,「不安」「抑うつ」の改善のみならず,NK細胞活性の改善(増加から正常へ),ひいては妊娠率の改善を報告してきた.このように,心の問題を改善することは妊娠率をも改善させる可能性があり,不妊治療における心のケアは治療の選択枝のひとつとして考慮すべきであると考えている.私達のグループ心理療法は,インフォームドコンセントのもとに,1グループ9―10人の固定メンバーで,1回90分のセッションを5回行う.その内容は毎回,教育的介入,問題解決技法,支持的精神療法を行った後,リラクゼーションとイメージ療法を行うものである.5回のセッションの後もこのグループは独自に連絡を取り合い,互いが問題を解決し合い,支持し合うといった心理的に良好な関係が持続する.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 42(3)
391-391, 2005
|