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第110回学術集会(平成17年10月15日(土),16(日))
【一般演題】
不妊・内分泌 頻回の卵胞モニタリングにより挙児を得た早発卵巣機能不全の一例
荒瀬 透, 丸山 哲夫, 杉浦 育子, 小野 政徳, 長島 隆, 升田 博隆, 内田 浩, 浅田 弘法, 岩田 壮吉, 青木 大輔, 吉村 泰典
慶應義塾大学医学部産婦人科
早発卵巣機能不全(POF)は挙児獲得が極めて困難であるため,海外では卵子提供が行われることが多い一方,5〜10%の自然妊娠率があるとも報告されている.今回,挙児希望のPOFに対して,Kaufmann治療をベースにした排卵誘発を行うなかで,偶発的に成熟卵胞を検出し,自然妊娠・出産せしめた一例を経験したので報告する.症例は33歳の4経妊1経産婦で,2児目を希望され当院を受診した.31歳時に当院にて,原因不明習慣流産の診断のもと,夫リンパ球接種による免疫療法を施行し,自然妊娠にて生児を得ている.今回は排卵障害を認めたため排卵誘発を行ったが,次第にhypergonadotropic hypogonadismを呈し,POFに移行した.その後約18ヶ月間にわたり,hMG-hCG療法を織り交ぜながらKaufmann療法をベースにした治療を施行するも,排卵誘発は困難であった.この間,月1〜2回の血中FSH測定と経腟超音波検査を用いた卵胞発育モニタリングは続行していた.今回の妊娠成立の経緯は以下の通りである.消退出血後6日目に来院した際,FSH値が6.8 IU/Lであったため,経腟超音波検査を施行したところ,右卵巣に20×16 mmの卵胞を認め,直ちに測定した血中E2は506 pg/mlであった.翌日hCG1万単位を投与し性交タイミング指導を行ったところ妊娠が成立し,39週に自然分娩にて2880 gの女児を得た.挙児希望を有するPOFの偶発的な卵胞発育を見逃さないためには,定期的かつ頻回のFSHおよびE2測定と超音波検査による卵胞モニタリングを行うことが重要であることを示唆する1例であった.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 42(3)
391-391, 2005
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