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第111回学術集会(平成18年6月18日(日))

【シンポジウムI】
ARTにおける出生前診断と周産期予後
1.ARTと出生児の遺伝学的問題


竹下 直樹
東邦大学医療センター大森病院産婦人科


 1978年の世界初のIVF児誕生から,約30年という短期間にART;生殖補助技術は目覚しい進歩を遂げた.その間に1992年のICSI;顕微授精の成功,胚の凍結保存技術の開発,培養液の改良による単一胚移植(胚盤胞移植)などに代表される,大きな節目となる技術開発が報告されている.また,同時に受精現象,配偶子形成過程における遺伝子の役割も,少しずつ解明されつつある.ARTの発達により,この生理的現象のメカニズムが明らかにされると共に,一方では,遺伝学的な問題に対して危惧されるようになってきた.そして最近,臨床遺伝学の分野が特に注目されており,生殖医療従事者はこの知識の修得が必須となっている.
 現在,わが国には約700の生殖医療施設があり,ARTによる出生は約70人に1人という時代を迎えている.このような背景から出生児の遺伝学的な長期のフォローは不可欠であると考えられる.ICSIの出現は,男性不妊症にとってBreak throughとなったが,同時にY染色体長腕,AZF(Azoospermic Factoe領域の微小欠失の伝播の問題も考慮が必要である.今まで多く報告されてきたAZF領域の構造は,Parindromeいう複雑な構造であることも解明されてきている.また,性染色体,常染色体の数的変化,構造変化の伝播も大きな問題である.
 2001年頃から,Genomic imprinting(ゲノム刷り込み現象)の変化による疾患とARTとの関連についての報告も散見される.配偶子,胚はそれぞれ各段階で,遺伝情報のリプログラミングが起こり,新たな遺伝子発現が起こる.そこにARTが関係している可能性があるという報告もなされている.さらに,生殖・遺伝カウンセリングといった心理的な支持・支援も生殖医療の分野で大きな領域を占めるようなっており注目されている.これらのことを踏まえると,今,まさにこれまでの技術の発達を,多角的に評価する時代に入ったと考えられる.
 今回は,Y染色体微小欠失,ゲノム刷り込み現象の変化を中心に,最近のTopicsにも触れ,ARTと遺伝学的問題について文献的考察も含め発表する.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 43(2) 112-112, 2006


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