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第111回学術集会(平成18年6月18日(日))

【シンポジウムI】
ARTにおける出生前診断と周産期予後
4.ARTと多胎妊娠


村越 毅
聖隷浜松病院総合周産期母子医療センター・周産期科


 日本人は世界で最も多胎妊娠の少ない人種であり,双胎妊娠においての自然頻度は1/150-160と報告されている.しかし,ART(assisted reproductive technology)の急速な普及により,近年は自然妊娠の1.5倍の頻度の双胎妊娠が発生している.品胎においては,自然妊娠の約10倍である.当センターにおける1991年から2003年の多胎統計(双胎714組,品胎48組)においては双胎の42%および品胎の97%が不妊治療による妊娠であり,多胎妊娠に対する不妊治療の影響は無視できないものがある.不妊治療による多胎妊娠では一般的に「DD(dichorionic-diamniotic)双胎の頻度が増えているからあまりリスクは高くないのでは?」と思われがちであるが,双胎妊娠そのものにおいて45%が早産であり,特に人工呼吸管理の必要な32週未満の早産が11%存在することを考えると,双胎妊娠の絶対数の増加は決してよいものではない.また,よりリスクの高いMD(monochorionic-diamniotic)双胎の頻度も無視できず,実際に当院の統計ではDD双胎の64%が不妊治療であるが,MD双胎においても8%が不妊治療による妊娠であり,注意が必要と思われる.当院のデータでは胚盤胞移植による妊娠の3.3%にMD双胎が発生し,自然妊娠における頻度(0.3-0.4%)と比較して約10倍のMD双胎発生頻度(OR:11.3,CI 2.8-45.7)であった.胚盤胞の複数個移植においては2絨毛膜3羊膜品胎などのハイリスクの多胎の増加が懸念される.さらに,近年2卵性1絨毛膜双胎の報告もあり注意が必要である(当院でも2例経験した).
 多胎妊娠の予後そのものに関しては,自然妊娠および不妊治療において差は認めていない.また,MD双胎における双胎間輸血症候群(TTTS)や一児発育遅延,一児死亡などの発生頻度も不妊治療の有無により差を認めなかった.しかし,多胎妊娠の絶対数が増加することや胚盤胞移植によりMD双胎が増加することは全体として周産期予後に与える影響は大きいと考える.さらに,当センターで胎児鏡下胎盤吻合血管レーザー凝固術を施行した重症TTTSのうち約20%が不妊治療後であることは重要な所見であると考えられる.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 43(2) 115-115, 2006


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