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第111回学術集会(平成18年6月18日(日))
【シンポジウムII】
新しい子宮筋腫の治療法と成績 1.マイクロ波子宮内膜アブレーションによる過多月経の治療
浅川 恭行
東邦大学医療センター大森病院産婦人科
子宮内膜アブレーションによる過多月経の治療は欧米を中心に現在広く普及している.これまで,子宮摘出術が安易に多数行われてきたことに対して,低侵襲および医療経済という二つの観点から検討されてきた結果である.子宮内膜アブレーションの新しい方法としてマイクロ波子宮内膜アブレーション(MEA)が行われるようになり,症例数は全世界ですでに10,000例を超えている.MEAは組織へのマイクロ波照射によって生じる組織誘電加熱を利用した蛋白凝固装置で,マイクロ波によって子宮内膜基底層も含めて破壊し,その機能を低下させその結果,経血量の減少もしくは無月経に移行することを目的としている.また,MEAはレゼクトスコープによる子宮内膜破壊術にくらべ,安全性,簡易性,効果の面で優れている.国内でも既に数施設で行われており70例以上に対してMEAが行われ,好結果が報告されている.当院においても2004年より院内倫理委員会承認のもと,インフォームドコンセントを得た9例を経験し,術後の臨床効果について検討を行った.MEAは全例,静脈麻酔下に行い,経腹超音波ガイド下に湾曲したサウンディングアプリケーターを挿入し,2.45GHzのマイクロ波凝固器から,子宮内を出力70W,通電時間50秒で凝固した.MEA終了後,子宮鏡にて子宮内の凝固の状態を確認し,翌日MRIにて子宮内膜の凝固範囲を確認した.術中および術後に合併症や感染症などは認められず,全例,過多月経症状が改善し,術後鉄剤を投与した症例は1例も認められなかった.しかし,子宮腺筋症の月経困難症状については有意な改善は認められなかった.MEAは低侵襲のうえ短時間で安全に子宮内膜を凝固させ過多月経症状を改善させことが可能である.よって,子宮摘出術の主な適応である子宮筋腫,子宮腺筋症に対して症状を緩和し,子宮摘出術を回避する有力な選択肢の一つとなることが期待される.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 43(2)
116-116, 2006
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