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第111回学術集会(平成18年6月18日(日))
【シンポジウムII】
新しい子宮筋腫の治療法と成績 2.子宮筋腫に対する日帰り集束超音波療法(FUS)と当院における成績
森田 豊
板橋中央総合病院産婦人科
子宮筋腫に対する集束超音波療法(Focused Ultrasound Surgery,FUS)は,2004年10月,米国FDAにより子宮筋腫に対する有効な低侵襲治療として承認され,現在,国内外で注目されつつある.今回我々は,本治療法の概要および当院における治療成績について報告したい.2004年12月より2005年9月まで,36名43結節に十分なインフォームドコンセントのもとに治療を施行してきた.患者はMRIの台の上にうつぶせになり,台の下から発する超音波のエネルギーを一点に集めることで,組織の温度変化をリアルタイムでモニターしながら,子宮筋腫を可能なかぎり変縁まで壞死させていく.治療した症例の年齢は42±6才(平均±標準偏差,以下同様),筋腫核の直径は76±20mm,症状は過多月経,頻尿,腹部膨満感等であった.照射時間は1症例あたり平均3時間25分であった.治療1カ月後の筋腫縮小率は85.6±23.4%で,3カ月後では72.9±15.6%,6ヶ月後では70.9±27.3%であった.3および6ヵ月後に,治療前に比べて70%以上の自覚的症状改善を認めた症例は,全体の91.7%と,これまでの国内外の報告を上まわる成績であった.また,治療3ヵ月後の妊娠例を1例認めた.副作用としては特記すべきものはなかった. 本治療は,日帰り治療が可能で,治療直後からの日常生活にも支障はなく,副作用の極めて少ない治療法と考えられる.また,当院で施行している筋腫変縁ぎりぎりまでを照射する方法や,的確な対象症例の選択により,縮小率や症状改善率の向上が可能であった.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 43(2)
117-117, 2006
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