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第111回学術集会(平成18年6月18日(日))

【シンポジウムIII】
子宮頸部腺癌の診断・治療のストラテジー
2.子宮頸部悪性腺腫の診断・治療のストラテジー


塩沢 丹里
信州大学医学部産婦人科


 子宮頸部悪性腺腫(adenoma malignum,あるいはminimal deviation adenocarcinoma)は水様性帯下を主徴とする超高分化型腺癌であるが,近年,臨床的および組織学的に悪性腺腫に類似する頸管腺の良性増殖性疾患としてlobular endocervical glandular hyperplasia(LEGH)などが提唱され,適切な治療を選択するためにより正確な治療前の診断が必要となってきた.悪性腺腫の術前診断においては超音波やMRI,頸管粘液中の胃型粘液の検出,細胞診や組織診が有用であるとされているが各々の検査の診断上の意義は確立されていない.さらに悪性腺腫や類似の良性類似疾患に対する標準的治療も確立されていない.このため,悪性腺腫の診断と治療に関して新たに包括的な検討が必要な時期にさしかかっていると考えられる.こうした背景に基づき,当教室では,全国の産婦人科学教室の協力のもと,日本産科婦人科学会・婦人科腫瘍委員会小委員会の課題研究として,子宮頸部悪性腺腫(adenoma malignum)とその類縁疾患の術前診断および治療ガイドライン確立に向けた臨床研究を平成17年度より開始した.本学会ではその経過報告として悪性腺腫と類似疾患の病理診断上のポイント,各種検査の診断上の意義などについて概説する.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 43(2) 121-121, 2006


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