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第111回学術集会(平成18年6月18日(日))
【シンポジウムIII】
子宮頸部腺癌の診断・治療のストラテジー 4.化学療法からみた子宮頸部腺癌のストラテジー
間崎 和夫
東邦大学医療センター大森病院産婦人科
【緒言】子宮頸部腺癌は早期診断が困難で,放射線感受性が低いなどの理由により子宮頸部扁平上皮癌に比べ予後が不良とされている.また日本産科婦人科学会婦人科腫瘍委員会の報告では,子宮頸癌に占める子宮頸部腺癌の割合が増加している.現在,子宮頸部腺癌に対する標準的な化学療法は確立していないため,様々なレジメンが行われている.今回,当科における子宮頸部腺癌の治療成績をretrospectiveに検討した. 【対象と成績】1983年〜2005年までに当科で子宮頸癌のため手術療法を行ったのは354例,その中で子宮頸部腺癌は30例,悪性腺腫4例,腺扁平上皮癌21例であり,腺扁平上皮癌症例を腺癌症例に含めると合計55例,子宮頸癌に占める割合は15.5%であった.年齢は23歳〜75歳(中央値46歳),観察期間は1〜256ヶ月(中央値67ヶ月),進行期はIa期7例,Ib期28例,IIa期10例,IIb期6例,III期4例であった.術式としては広汎子宮全摘出術46例,準広汎子宮全摘出術4例,単純子宮全摘出術4例,試験開腹術に終わったものが1例であった.化学療法を行ったものは27例で,レジメンはCAP(cisplatin,adriamycin,cyclophosphamide)療法13例,MEP(cisplatin,etoposide,mitomycin C)療法6例,TJ(paclitaxel,carboplatin)療法3例,PAM(cisplatin,aclacinomycin,mitomycin C)療法2例,PF(cisplatin,5-FU)療法2例,EP(cisplatin,etoposide)療法1例,その他2例であった.放射線療法は10例に行い,化学療法と放射線の併用療法は5例であった.1983年〜2001年までの46例の5年生存率はIa期100%(7/7),Ib期96%(25/26),II期55%(6/11),III期0%(0/2)であった. 【考察】進行期II期以上の予後は不良であった.子宮頸部腺癌の化学療法については各施設よりMEP療法,PAM療法,PAM-5(cisplatin,adriamycin,mitomycin C,5-FU)療法,TJ療法,CPT-11・CDGP(irinotecan,nedaplatin)療法などいろいろな報告があり,婦人科悪性腫瘍化学療法研究機構(JGOG)ではCPT-11・MMC・5-FU療法,東北婦人科腫瘍研究会(TGCU)ではDJ(docetaxel,carboplatin)療法の臨床試験が行われている.今後も多施設共同研究において治療法を検討するストラテジーが望まれる.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 43(2)
123-123, 2006
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