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第111回学術集会(平成18年6月18日(日))
【ランチョンセミナー2】
「低用量経口避妊薬の使用に関するガイドライン」改訂のポイント
田邊 清男
東京電力病院産婦人科
低用量経口避妊薬(以下,OC)の使用に関し,平成11年8月に刊行された「低用量経口避妊薬の使用に関するガイドライン」(日本産科婦人科学会編)(以下,旧ガイドライン)が周知されてきた.旧ガイドラインは主としてOCの服用に伴う副作用等による健康被害をできるだけ未然に防止するための情報をまとめたものであり,はじめてOCが導入された本邦において,安全使用の面でその役割を果たしてきた. 平成18年2月「低用量経口避妊薬の使用に関するガイドライン」改訂版(日本産科婦人科学会編)が関連学会の協力を得て制定された.本改訂版は,旧ガイドライン,WHO;Selected practice recommendations for contraceptive use 2002. 2004,WHO;Medical eligibility criteria for contraceptive use 2004,英国の医師向けガイドラインなどを参考にして作成され,全般的に最新のエビデンスに基づく記載となっている. 以下に主な改訂点をまとめた. 1.避妊以外のOCの利点(副効用) 旧ガイドラインでは,卵巣癌,子宮体癌,その他のリスクの減少に限定されていたが,改訂版では月経困難症,過多月経,子宮内膜症,卵巣嚢胞,大腸癌,骨粗鬆症,尋常性ざ瘡(にきび)などが追加記載された. 2.OC使用に関する医学的適用基準 WHO;Medical eligibility criteria for contraceptive use 2004に基づき,OCの原則的禁忌,絶対的禁忌が明示された. 3.OC処方前の検診 旧ガイドラインでは,一般検査,婦人科的検査,性感染症検査等のスクリーニング検査が求められていたが,改訂版では,問診と血圧測定が重視された.ただし,処方前検査は不要という意味ではなく,問診の結果,必要に応じて血液凝固系検査,子宮頸部細胞診,性感染症検査などを実施することとした. 4.OCの服用開始時期,飲み忘れに対する指導 OCの服用開始について,さまざまな状況下で服用を開始するタイミングが記載された.また,WHOによる「OC飲み忘れに関する指導」も紹介されている.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 43(2)
127-127, 2006
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