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第111回学術集会(平成18年6月18日(日))

【ランチョンセミナー4】
婦人科腫瘍におけるPETの基礎と臨床応用―保険適用になったFDGをどう使うか―


村上 康二
獨協医科大学病院PETセンター


 がん診断におけるFDG-PETが保険収載されてから4年が経過したが,婦人科腫瘍においては保険収載が遅れ,ようやく本年4月に子宮頸がん,子宮体癌,卵巣がんにおいて認可が下りたばかりである.したがってまだ産婦人科領域においてPET検査はそれほど普及した診断法ではないものの,今後FDG-PETを正しく運用するためには,PET検査の基本や有用性に対する最低限の知識は持っておく必要がある.本講演では最初にFDG-PETの基礎を簡略に述べてから婦人科腫瘍におけるPETの役割を概略する.
 一般的にPETのがん診断における役割は大きく1)腫瘍の質的診断 2)病期診断 3)治療効果判定 4)再発診断 5)検診への応用に大別できる.
このうち質的診断においては,FDGは炎症にも集積するために必ずしも良悪性の鑑別に有用とは限らない.また粘液産生癌にはFDGの集積が弱い場合がある.病期診断に関しては主病巣の評価というよりはN因子とM因子の診断であるが,婦人科癌における有用性は必ずしも明確でない.さらに検診においてはPETで発見された症例が報告されている程度である.一方,現在最もPETの有用性が高いのが化学療法後や放射線療法後の効果判定,あるいは腫瘍マーカーの上昇などにより再発が強く疑われても,形態画像では病巣を発見できない場合である.つまり形態診断だけでは評価が困難な場合,そして全身を検索する必要がある場合にPETを施行する意義が高いものといえる.
 従来PETの最大の欠点は空間分解能が低い事であったが一昨年からPETとCTが一体型となったPET/CTが登場し,国内でも急速に普及している.PET/CTはPETとCTの画像を同一寝台でほぼ同時に撮影するために消化管や膀胱などの生理的変動も少なく,高い精度で融合画像を得ることができる.さらに当院ではPET/CTに積極的に造影剤を投与し,造影CT検査も同時に完結するスケジュールを組んでいる.講演ではPET/CTの有効例や造影CTと組み合わせた三次元画像への応用も述べることとする.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 43(2) 129-129, 2006


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