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第111回学術集会(平成18年6月18日(日))
【一般演題】
子宮筋腫 閉経後急速に増大した巨大子宮頚部筋腫の一例
原嶋 志保1), 奥平 忠寛1), 宮原 優子1), 伊藤 章子1), 村岡 光恵1), 太田 博明2)
東京女子医科大学東医療センター産婦人科1), 東京女子医科大学産婦人科2)
子宮筋腫は,一般的に性成熟期に増大し,閉経後は縮小するため,閉経後に急速に増大するものは子宮肉腫との鑑別を要する.我々は,閉経後に急速に増大した巨大変性子宮頸部筋腫の1例を経験したので報告する. 症例は69歳G2P2,閉経周辺期に過多月経あり.52歳閉経,腫瘤は56歳頃には恥骨上,65歳頃には臍高に達していた.69歳時に目眩を主訴に内科受診,腹部超音波検査で25×20cmの巨大腹部腫瘤を認め当科初診.下腹痛,性器出血なし.身長153cm,体重55.8kg,腹囲97cm,腫瘤は臍上2横指,巨大ダンベル型で腟円蓋を圧迫し,子宮腟部は触知できず.血液検査所見はHb 11.5g/dl,CRP 0.4mg/dl,LDH 214IU/l,CA125 21.8U/mlであった.骨盤MRIで骨盤腔内から上腹部に17×28×29 cmの腫瘤を認め,T1強調画像で比較的均一な低信号,T2は高信号が主で多数の低信号域が霜降り状に配列,dynamic MRIでT2の低信号域が不均一に造影され,子宮肉腫を強く疑った.手術までの1カ月間に後腫瘍は肋骨弓下まで増大し,両側高度水腎症と下肢深部静脈血栓を併発した.腹式子宮全摘出術+両側付属器切除術施行.腫瘤はダルマ状で頸部筋腫であり右尿管を巻き込み,右外腸骨動脈との癒着を認めた.標本重量は10kg.病理診断は粘液腫様の強い変性を伴う平滑筋腫であった.細胞密度は低く,核分裂像や核異型を認めず,悪性を示唆する所見はなかった. 閉経後に増大する子宮腫瘍を認めた場合,子宮肉腫などの悪性腫瘍を考慮する必要があるが,本症例のように変性子宮筋腫のこともある.以上について文献的考察を加え報告する.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 43(2)
133-133, 2006
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