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第111回学術集会(平成18年6月18日(日))

【一般演題】
妊娠・分娩1
歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症合併妊娠の一例


豊田 真紀, 小畠 真奈, 漆川 邦, 藤木 豊, 濱田 洋実, 吉川 裕之
筑波大学産婦人科


 歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症(dentatorubral-pallidoluysian atrophy:DRPLA)は常染色体優性遺伝を示す脊髄小脳失調症である.ミオクローヌス,てんかん発作,小脳失調,舞踏病アテトーゼ,痴呆,性格変化と精神症状を基本症状とした多彩な臨床病型を示し,発症年齢からは若年型,早期成人型,遅発成人型に分類される.1994年に原因遺伝子が同定され遺伝子診断が可能となっているが,発症後の妊娠に関しては検索される限りでは報告がない.今回我々は,早期成人型と考えられるDRPLA患者の2回の妊娠分娩管理を経験したので報告する.
 症例は15歳時に発症前診断をされている.弟が同疾患のため19歳にて死亡しており,父親はDRPLAと診断され通院中である.第1子の妊娠は2001年20歳時であり,妊婦健診未受診のまま3195gの女児を当科にて正常分娩した.2003年12月頃よりてんかん発作を起こすようになったためDRPLA発症と診断され,2004年12月より当院神経内科にてバルプロ酸400mg/日を内服開始.12月10-15日を最終月経として第2子を妊娠したが,妊娠21週に初めて本人が妊娠していることを医師に告げた.この時点で遺伝カウンセリングを行ったところ,本人は強く妊娠継続を希望し,一旦服薬は中止した.妊娠32週3日にてんかん発作を来したため,バルプロ酸600mg/日の内服を再開した.経過中,胎児のwell beingは良好であり妊娠39週2日2730gの男児を正常分娩した.現在第1子,第2子とも発育は順調でDRPLAの発症は見られていない.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 43(2) 136-136, 2006


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