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第111回学術集会(平成18年6月18日(日))
【一般演題】
妊娠・分娩3 産褥期に大量性器出血を繰り返した子宮頚部癒着胎盤の一例
松浦 眞彦, 清水 八尋, 丸山 綾, 永石 匡司, 長田 尚夫, 山本 樹生
日本大学医学部産婦人科(駿河台日本大学病院)
分娩後から産褥期に大量性器出血を繰り返し,粘膜下筋腫と鑑別が困難であった子宮頚部癒着胎盤を経験したので報告する. 症例は30歳初産婦.妊娠経過は特に異常を認めず.平成17年11月30日妊娠37週で正常分娩.分娩後頚管裂傷と診断され頚管を縫合するも産褥期に大量性器出血を繰り返し,12月21日精査加療目的にて当院に紹介される.超音波検査では子宮頚管内に直径3.9×2.9cmのhyper echoic massを認め,MRIでは子宮頚管内部から外子宮口に一部露出した3.8cmのhypervascular massを認め粘膜下筋腫として矛盾がない画像が得られた.臨床経過から胎盤遺残や癒着胎盤も疑われ手術を予定するも再度大量出血が認められ緊急手術となる.内子宮口前壁に直径3.5cmの腫瘤を認め子宮筋層から発育する変性した腫瘤があり,腫瘤上端の筋層が裂溝状に縦横深さが0.5×2.0×0.5cmに渡り裂けその部位より出血が認められた.肉眼的には子宮筋腫か癒着胎盤が考えられ子宮筋層を含めて腫瘤を摘出した.病理検査で侵入胎盤の診断であった. 今回,筋腫分娩と鑑別が困難であった癒着胎盤を経験した.癒着胎盤は安易に用手剥離を行うと止血困難な大量出血をきたし母体の生命をも脅かすことになるので,分娩後大量出血を来たす場合には本症を考慮して対処し慎重な取り扱いが重要である.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 43(2)
141-141, 2006
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