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第111回学術集会(平成18年6月18日(日))
【一般演題】
妊娠・分娩3 帝王切開翌日に発症した産褥性心筋症の一例
滝澤 基, 雨宮 厚仁, 河野 恵子, 小野 洋子, 小川 浩平, 永田 育子, 白石 眞貴, 池上 淳, 寺本 勝寛
山梨県立中央病院産婦人科
CPDにて選択的帝王切開施行後,産褥1日に産褥性心筋症を発症した症例を経験したので報告する.【症例】42歳,0経妊0経産,身長140cm.既往歴,家族歴に特記事項なし.妊娠20週まで産科受診していなかった.20w4d,近医総合病院受診し以後同院にて妊娠管理された.30w1d低置胎盤出血,切迫早産にて当院に母体搬送となった.切迫早産に対して塩酸リトドリン投与した.35w1dマグネゾール点滴併用した.35w2dに心電図施行したところ異常T指摘されたが循環器内科受診し問題ないと診断された.37w1dにCPDの診断にて選択的帝王切開施行した.新生児は,体重3252g身長48.5cmの男児にて,Large for dateであった.術後0日の母体の経過は良好で心不全徴候は認めなかった.産褥1日に呼吸苦あり,SpO2 89%まで低下した.酸素60%投与にてもSpO2が90台前半までしか上昇せず.起座呼吸,チアノーゼ出現した.胸部レントゲンにて血管像増強認め,心エコーにて左室ejection fraction(EF)39%と左室機能低下を認めた.肺梗塞は否定的であり,産褥性心筋症による心不全の診断にてICU転科となった.ICUにて,硝酸イソソルビドを2日間,カルペリチドを7日間投与し,EFが70%まで回復した.産褥5日の採血にて,hANPが520pg/ml,BNPが591pg/ml,心室筋ミオシン軽鎖Iが5.8ng/mlであった.産褥16日心臓カテーテル検査施行し動脈梗塞性病変は認められなかった.経過良好にて産褥20日退院となった.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 43(2)
142-142, 2006
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