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第111回学術集会(平成18年6月18日(日))

【一般演題】
妊娠・分娩5
部分的に胎盤遺残となった癒着胎盤3症例の検討


木村 美葵, 川原 康緒, 時田 佐智子, 杉山 真理子, 鈴木 千賀子, 桜井 明弘, 鈴木 正明
賛育会病院産婦人科


 癒着胎盤の為,部分的に胎盤組織が遺残し,産褥出血や子宮内感染を起こすことがある.当院で経験した部分的な胎盤遺残3例について報告する.症例1:25歳0経妊0経産.妊娠39週で正常分娩.産褥一か月健診で,子宮内頚部に子宮筋層からの豊富な血流を伴う直径4cmの腫瘤を認め,癒着胎盤と診断した.産褥48日目に腫瘤はポリープ状に下垂し外子宮口より一部露出,出血も増量した.血中hCGは52mIU/mlであった.MTX 20mg/日を5日間投与したところ,6日目より性器出血が減少し,腫瘤の縮小が見られた.その後,腫瘤は自然脱落し,34日目に確認できなくなった.症例2:32歳1経妊1経産.妊娠37週で正常分娩.産褥一か月健診の際,経腟超音波断層法で子宮腔内に直径3cmの高輝度エコーを呈する腫瘤を認めた.子宮筋層の菲薄化を伴っており癒着胎盤が疑われた.パワードップラーで腫瘤には筋層からの明らかな血流を認めず,血中hCGは6mIU/mlと低値であったため,子宮鏡下に摘出した.症例3:35歳0経妊0経産.33歳時にatypical polypoid adenomyomaに合併するadenocarcinomaを子宮鏡下に摘出.患者に妊孕性温存の希望があったため,informed consentを得た上で厳重に経過観察していたところ,自然妊娠に至った.妊娠40週で正常分娩.分娩直後より,子宮頚部に血流豊富な直径5cmの腫瘤を認めた.胎盤遺残を疑ったものの悪性腫瘍の再発も否定できず,厳重経過観察とした.産褥28日目に大量性器出血を来したため,治療及び確定診断目的に腹式単純子宮全摘術を施行した.病理組織検査の結果はplacenta accretaであった.3症例に共通するのは分娩時の大量出血であった.これらの症例提示に文献的考察を加え,報告する.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 43(2) 144-144, 2006


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