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第111回学術集会(平成18年6月18日(日))
【一般演題】
妊娠・分娩5 胎盤辺縁剥離(peripheral placental separation;PPS)の一症例
塚本 有佳子, 西林 学, 難波 聡, 菊地 真理子, 加村 和雄, 三木 明徳, 岡垣 竜吾, 板倉 敦夫, 石原 理
埼玉医科大学産婦人科
胎盤辺縁剥離(peripheral placental separation;PPS)はchronic peripheral separation of the placentaともよばれ,妊娠中期から多量の性器出血が持続し診断,治療に苦慮することも多い.今回我々は,妊娠中期より性器出血が持続したために高度の貧血を呈し,PPSと考えられた症例を経験したので,若干の文献的考察を交えて報告する.症例は28歳,2回経妊2回経産.既往歴にはアレルギー性皮膚炎,喘息があった.家族歴には特記すべきものを認めなかった.妊娠14週頃より少量の性器出血及び腹痛を認め,切迫流産の診断で当科外来にて経過を見ていた.妊娠19週3日持続性の性器出血が出現したため緊急入院となった.超音波検査では内子宮口を覆うhypoechoicな像を認めたが,胎盤は子宮底に存在し,前置胎盤は否定的であった.入院時,不規則な子宮収縮を認め,塩酸リトドリンの投与を開始したが,症状軽快しないため,硫酸マグネシウムを併用した.経過中出血は10〜20g/日(最大370g)持続し,Hbが6.2mg/dlまで低下したため鉄剤投与を行った.児の発育には異常を認めなかった.妊娠23週1日,水様性帯下の訴えあり,チェックプロムRにて検査したところ陽性となり破水と診断されたが,その後も明らかな羊水量の減少を認めなかった.妊娠30週2日子宮収縮が増強,それに伴ってvariable decelerationが頻発したが,急速に分娩が進行し,同日経腟分娩に至った.児は1247g,男児,Apgar score 5/7.児は出生直後よりNICU管理となり呼吸窮迫症候群で人工呼吸器管理となったが,その他の異常は認めなかった.慢性肺障害も認めなかった.胎盤は670gで,母体面に血腫の付着をみとめ常位胎盤早期剥離の発症が示唆された.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 43(2)
146-146, 2006
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