|
<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る
第111回学術集会(平成18年6月18日(日))
【一般演題】
妊娠・分娩7 低位胎盤帝王切開後子宮収縮不良にて子宮腟上部切除術を余儀なくされた一例
中川 圭介, 杉浦 聡, 武藤 聡子, 川村 久恵, 上里 忠和, 五十嵐 敏雄, 梁 善光
帝京大学医学部附属市原病院産婦人科
帝王切開時の弛緩出血では,稀ではあるが子宮摘出を考慮すべき状況となることがある.今回我々は帝王切開時胎盤娩出後,弛緩出血により子宮膣上部切断術を余儀なくされた一例を経験したので報告する.症例は33歳初経産婦.2005年3月15日〜5日間を最終月経として前医にて妊娠の診断を受け,以後同医での妊婦検診に通院していたが,低位胎盤が疑われたため31週4日当科紹介となる.当科初診時出血なし,子宮口閉鎖,経膣超音波上内子宮口〜胎盤までは25mmあり,外来通院にて経過観察とした.34週時より自己血貯血開始(計400ml貯血),36週時には児頭が胎盤より明らかに先進していたため経膣分娩の方針とした.12月19日(40週4日)外来受診.子宮口3cm開大,同時に著明な出血あり(内診時だけで160ml),経腟分娩は困難と判断し同日緊急帝王切開施行,胎児(男児,3660g,APS9-9,UApH7.261)・胎盤はともにスムーズに娩出され,子宮下節も二層縫合にて止血したが子宮収縮が不良であり,オキシトシン,PGF2α,子宮底輪状マッサージ,冷却等の処置を行うも無効であった.この間に出血6765ml,Hb6.0g/dlとなり,子宮膣上部切断術を施行した.手術時間4時間35分,出血8414ml,MAP15単位,FFP8単位を輸血した.術後腹腔内出血のため翌日再開腹し止血,さらにMAP9単位,FFP4単位を輸血した.術後Hb5.7g/dlまで低下したがその後は順調に回復し,12月29日(産褥10日目)軽快退院となる.本症例について文献的考察を交えて報告する.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 43(2)
150-150, 2006
|