|
<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る
第111回学術集会(平成18年6月18日(日))
【一般演題】
妊娠・分娩8 風疹Persistent IgM妊婦の一例
茆原 弘光1), 五十嵐 美和1), 里見 操緒1), 松橋 智彦1), 印出 佑介1), 嶺 貴彦1), 加藤 建1), 渡辺 美千明1), 鴨井 青龍1), 河村 堯1), 竹下 俊行2)
日本医科大学千葉北総病院産婦人科1), 日本医科大学付属病院産婦人科2)
【背景】妊娠初期妊婦における風疹ウィルス赤血球凝集抑制試験で,高値を示す症例については風疹IgM抗体を測定し初感染か否かを判定する.しかし,EIA抗体の検出感度によっては,数種類のウィルスに対し同時にIgMが検出される非特異的反応や,風疹ウィルスによる初感染,再感染の兆候なくIgM抗体が陽性となるPersistent IgMという病態が存在する.今回,我々はこの風疹Persistent IgM妊婦の症例を経験したので報告する.なお本症例の提示に関しては患者の同意を得ている.【症例】症例は24歳,初産婦.平成17年4月17日よりの無月経を主訴に当科を受診した.妊娠反応陽性,CRL2.34cm,児心拍陽性より妊娠9週2日と診断した.その後,妊娠17〜20週における近医での検査では風疹ウィルス赤血球凝集試験およびIgMはそれぞれ512倍,1.43と高値,陽性であった.その後,当院での妊娠33週以降の検査でもIgM 1.53と陽性であり,風疹予防接種および既往感染の有無は不明であった.先天性風疹症候群のリスクについてインフォームド・コンセントを十分に行った上で分娩に臨んだ.平成18年1月17日,妊娠39週2日,自然の陣痛発来により入院,2,244g,女児をアプガースコア1分後9点,5分後10点で正常分娩に至った.出生後,児の直接採血による風疹IgM抗体は陰性で,聴性脳幹反応,心臓超音波検査等でも先天性風疹症候群の症状は認められなかった.分娩前の母体血清の風疹IgG Avidity Indexは61%と高値を示したことから,分娩前のIgM陽性の検査所見と合わせて風疹Persistent IgMの可能性が示唆された.本症例の経過を,最近の風疹感染症血清診断の知見とともに報告する.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 43(2)
153-153, 2006
|