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第111回学術集会(平成18年6月18日(日))
【一般演題】
妊娠・分娩9 塩酸リトドリンによる無顆粒球症・好中球減少症に対するG-CSF製剤投与―症例報告―
吉川 仁1), 新井 富士美1), 大口 昭英1), 大丸 貴子1), 萩原 秀文1), 水野 泉2), 渡辺 尚1), 松原 茂樹1), 鈴木 光明1)
自治医科大学産婦人科1), 長岡赤十字病院産婦人科2)
【緒言】塩酸リトドリンによる好中球減少症3例に対してG-CSF製剤を投与した(3年間:分娩数2972例).【症例1】切迫早産に対しリトドリン(最高200μg/分)を28日間使用後,妊娠35週2日に白血球1700/μl(好中球0%)となり母体搬送.リトドリンを中止し抗生剤とG-CSF100μgを3日間投与したところ白血球8400/μl(好中球42%)まで回復し36週0日に退院.搬送元医院で経膣分娩.【症例2】二絨毛膜性双胎で,リトドリン(最高180μg/分)を30日間使用後,31週1日に白血球1890/μl(好中球31%)となり当科へ搬送.リトドリンを中止し,硫酸マグネシウム+塩酸イソクスプリン投与.翌日(31週2日)には白血球1600/μl(好中球25%)となり,抗生剤とG-CSF100μgを8日間投与.32週1日前期破水のため帝王切開.児はNICUへ入院,母は術後7日目に退院.【症例3】25週6日に切迫早産で母体搬送.リトドリン(最高167μg/分)を通算23日間使用後,28週2日に白血球1900/μl(好中球2%)となった.リトドリンを中止し硫酸マグネシウムに変更し,抗生剤とG-CSF100μgを3日間投与した.白血球9200/μl(好中球57%)にまで回復したが,CRP高値のためtocolysisを中止したところ28週6日に経膣分娩.児はNICUへ入院,母は産褥6日目に退院.3例とも母児健康.【結語】G-CSFは癌化学療法による好中球減少症に対し保険適応が認められているが,他薬剤による好中球減少症には保険適応は認められていない.今回3症例では,いずれも好中球減少の発見が早く,症状出現前にG-CSFが使用され,本剤不使用例(時)との比較はできていない.が,本剤は有効との感触を得た.リトドリン誘発性好中球減少症へのG-CSF投与は治療法の1つとして考慮されるべきである.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 43(2)
154-154, 2006
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