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第111回学術集会(平成18年6月18日(日))
【一般演題】
子宮頸癌1 子宮頸癌漿液性腺癌の一例
望月 亜矢子, 宮部 勇樹, 和田 久恵, 幸村 康弘, 小澤 英親, 大井 豪一, 金山 尚裕
浜松医科大学産婦人科
子宮頸癌において漿液性腺癌の発生は稀であり,その臨床像は明らかでない.また組織学的にも子宮体癌漿液性腺癌との鑑別も困難であることが多い.今回我々は臨床的に子宮頚癌漿液性腺癌と診断,治療した一例について報告する.51歳の3経妊,3経産.閉経45歳.6ヶ月前からの不正性器出血を主訴に受診.内診で子宮膣部は腫瘍にて確認できず,骨盤底までの抵抗を認めた.また,超音波で右水腎症を認めた.子宮膣部細胞診はclassV(腺癌),組織診では漿液性腺癌との結果,子宮頚癌漿液性腺癌stageIIIbと診断した.MRIでは子宮頚部を主座とした5×3×4cmの不均一な高信号を示す腫瘤があり,内腔にはhematometraが認められた.また子宮傍組織浸潤も認められ,右側では骨盤底までの到達が疑われた.同月よりchemoradiationを開始した.化学療法はCBDCA150mg/週を行い,放射線照射は全骨盤照射30.6Gyを先ず行い,その後腔内照射24Gy,中央遮蔽骨盤照射を19.8Gy行った.腫瘍は縮小,腫瘍マーカーも低下したが,終了時明らかな残存腫瘍を認め細胞診でも陽性であるため,化学療法(SIP;254-S 80mg/m2(day1),IFM 1500mg/body(day1-5),PEP 5mg/body(day1-6)を2コース施行した.残存腫瘍は縮小,細胞診は陰性化した.その18ヵ月後,CTにて傍大動脈領域に1.5cmのリンパ節の腫大認め,またCA125も33U/mlと上昇,再発と診断し,chemoradiationを行った(CBDCA150mg/週,傍大動脈領域54Gyの照射).その結果転移リンパ節は縮小,CA125も低下した.現在外来観察中である.我々の症例では化学療法や放射線療法が有効であった.また腫瘍再発の指標としてCA125も有効であった.文献的考察をふまえて報告する.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 43(2)
156-156, 2006
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