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第111回学術集会(平成18年6月18日(日))
【一般演題】
子宮頸癌1 妊娠に合併した子宮頚部小細胞癌の一例
手塚 彩子, 杉原 一廣, 酒井 謙, 澁谷 裕美, 矢島 正純, 岩下 光利
杏林大学産婦人科
症例は38歳G1P1,既往歴に特記事項無し.妊娠17週での初回細胞診class I,妊娠初期に異常を認めなかった.妊娠22週より出血と帯下が増加,子宮頚部に3cmの腫瘤を認めたため,頚部筋腫もしくは筋腫分娩の診断で当科紹介(妊娠23週6日).当科初診時,腫瘤は5cmに増大し,子宮頚部腫瘤細胞診はclass IIIであった.患者・家族が組織生検を希望せず細胞診のみで経過観察.妊娠24週5日に性器出血増加により入院管理となす.妊娠25週,27週の細胞診はclass III,class II.妊娠28週,細胞診class Vのため妊娠29週4日に同意を得て腫瘍組織生検施行.小細胞癌と病理診断した.平成17年10月14日妊娠31週6日,まず帝王切開術を施行した.MRIにて腟内に10cmの腫瘍が占拠.尿路造影で異常所見無し.これらの結果と内診所見より子宮頚癌stage IIbと診断した.腫瘍マーカーはNSE 43ng/mlのみ高値.平成17年11月2日広汎子宮全摘術+両側付属器切除術施行.術後進行期分類ではpT2bN1M0であった.免疫組織染色chromograninA陽性も併せて,小細胞癌と病理診断.術後後療法は,化学療法併用放射線治療を施行し,現在さらにTJ療法を施行中である.子宮頸部扁平上皮癌の場合,胎児の成熟のため母体治療の延期を選択する場合もあるが,悪性度の高い小細胞癌などの場合は早急に治療を開始する必要がある.従って増大する子宮頸部腫瘤認めた場合十分なインフォームドコンセントを得た上でたとえ妊娠中でも組織診を行い確定診断する必要性を痛感した.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 43(2)
157-157, 2006
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